自国のマーケットをターゲットにし、マーケットを知り尽くしている特性を活かしながら一定のシェアを獲得している地場メーカー。第一弾はベトナムのVsmartというメーカーの紹介です。Vsmartは、2018年にスマートフォン事業に参入しわずか2年足らずですが、サムスンや中華メーカーからシェアを奪って急成長しています。
日本にいながら購入することは不可能、日本人によるレビューも一切ない、そんなVsmartのスマートフォンの世界を少しだけのぞいてみます。
目次
ベトナム版Samsung
Vsmartですが、もとはベトナムの大手財閥であるヴィン・グループのグループ企業として設立されました。ヴィン・グループはベトナム国内でも高い知名度を誇り、国民で知らない人はいないというほどの規模を誇ります。グループ内では不動産を初め、自動車産業やホテル産業などにも進出しています。
製品ラインナップ
ACTIVE 3 - 1.6万円~
現行ラインナップで一番熱いのが、このACTIVE 3です。背面には48MPトリプルカメラを搭載し、前面はポップアップカメラによりフルスクリーンを実現。
チップセットは非公開ですが、内蔵メモリとストレージはそれぞれ4GB/6GBと64GB。約16,000円という価格はミスでしょうか。
Joy 2 Plus - 9000円
Snapdragon 450搭載のエントリーモデル。バッテリー容量は4500mAhでQuick Charge 3.0に対応。充電端子はUSB Type-Cです。スマートフォンに必要な機能は全て備え、カメラもデュアル仕様のぜいたくスマートフォンです。9000円には驚きを隠せません。
「Made in Vietnam」 へのこだわり
Vsmartの製品の最大の特徴は、自国内の工場で製造されているということです。開発拠点はスペインをはじめ、アジア諸国に置いていますが、Made in Vietnamに重きを置いているのです。
自国内で製造された製品に安心感のようなものを覚えるのは事実ですが、一方でベトナム国民は中国製のコストパフォーマンスに優れた製品を選びがちという指摘もされています。結局のところ、Made in Vietnamがセールスポイントとして効いているのかは微妙なのでしょう。
ベトナムから世界へ
2018年にベトナム国内市場ではじめたヴィン・グループのスマートフォン事業でしたが、その一年後にはスペインとミャンマーにその手を広げており、世界各国での展開、特に東南アジアへの意欲を見せています。
Vsmartのベトナム国内でのシェアはサムスンとOppo、vivoのスリートップに次いで四位です(GfK:2020年3月)。ベトナムでは成功していると言っても間違いないですが、ヨーロッパといえば、XiaomiやHuaweiなどの中華メーカーがシェアを伸ばしている真っただ中。厳しい戦いにはなるでしょう。
AI関連技術が強みになるか
ヴィン・グループですが、VinAiやVinTechというAIなどの関連技術の研究をする会社も立ち上げています。財閥系企業の特徴を活かして今後Vsmartの製品にも最新の技術が取り込まれていく可能性も期待できます。
VinAIはマスクを着用したままでも精度を損ねずに顔認証ができる技術の開発に成功したとして業界内でも話題を呼んでいます。深層学習を活用した技術のため特別なセンサーなどを必要とせず、コストを抑えることも可能だといいます。新たに発表されたこの技術は、今後Vsmartのスマートフォンに採用されることが見込まれています。
伊Pininfarina(ピニンファリーナ)との提携で期待大
Vsmartはベトナム国内スマートフォン市場のロー・ミドルレンジ帯をターゲットにした戦略でシェアを大きく伸ばしてきました。この戦略は変えない一方で、同社はイタリアの大手自動車デザイン会社のPininfarina(ピニンファリーナ)との戦略的提携契約を2020年の5月に発表しています。
今後開発される新製品ではデザイン面でPininfarinaが携わってくることになることから、Vsmartはブランド力を利用してハイエンド帯のスマートフォンも発表してくることが期待できます。
ライバルはBphoneだ
ベトナムで成功をおさめ、ヨーロッパへの展開も始めたVmsartですが、その陰にあるのは同じくベトナム地場メーカーであるBphoneの存在です。ベトナムのApple/Samsungを目標に掲げる同社とは国内でもシェアの奪い合いをしており、今後も見過ごすごとはできない強力なライバルなのです。
地場メーカーと競いながら、コストパフォーマンスで頭一つ抜ける中華メーカーにその他アジア圏のメーカーともやりあっていく必要があるVsmart。同社の今後の成長に期待するべきでしょう。
ああ、キリンの缶コーヒー FIREが飲みたくなってきたなあ。DEEP BLENDがお気に入り。あれ、涙が。
こういったマイナーな企業にフォーカスした記事はPV数を意識してか他サイトでもあまり見かけないのでありがたいです。