”この価格でこれだけ使えれば十分” と思える「android one」認定モデル
Xiaomi(シャオミ)が2019年7月にリリースした高機能低価格モデル「Xiaomi Mi A3」をレビューしました。
本機はGoogle が展開する「android one」プラットフォームに準拠した ミドル ~ ローレンジモデルでありながら、「画面内指紋認証」「AI搭載カメラ」「超広角レンズ」「狭額ベゼル」といった最新のトレンドをカバーするコストパフォーマンスの高い一台です。
Xiaomi Mi A3とは?:
Xiaomi による「android one」準拠の高機能低価格スマートフォン
良いところ:
- 大画面なのに幅狭で持ちやすいボディ
- 画面内指紋認証と顔認証によるスマートなロック解除
- 充実したカメラ機能(AI制御、超広角レンズ装備など)
- 大容量バッテリーによる長時間動作
- 良好なコストパフォーマンス
残念なところ:
- ディスプレイ解像度が低いため、画面表示に粗さが目立つ
目次
購入に関して
レビュー端末は 2019年 9月初旬に海外通販サイト EXPANSYS にて購入しました。メモリ4GB、ストレージ64GBで本体色は「Kind of Gray」です(Pixelみたいな色のネーミングですね)。
希望小売価格: \27,630(当時)
購入価格 : \25,300(送料、関税を含む)
9月末現在、他の通販サイト等では $200 以下で販売されているケースも見られます。
パッケージ内容
内容物は以下の通りです。
- Mi A3 本体
- ACアダプター
- USB A to C ケーブル
- 純正TPUケース
- SIMピン
- 説明書類
低価格モデルですが純正ケースが付属しているのはありがたいところです。
化粧箱も、シンプルなデザインではあるもののとてもしっかりした作りで、クラス以上の質感が感じられます。
スペック・性能詳細表
基本スペック | |
---|---|
ディスプレイ | 6.01インチ, 720 x 1560, 有機ELディスプレイ, 286ppi |
サイズ | 153.5 x 71.9 x 8.5mm, 173.8g |
システム | |
OS | Android 9.0 (Pie) |
Soc | Qualcomm Snapdragon 665 |
CPU | Kryo 260 Gold x2 & Kryo 260 Silver x6 8コア, 2.0 GHz |
メモリ(RAM) | 4GB |
ストレージ | 64GB / 128GB, sd_card microSD最大256GBまでSIM2スロットを使用 |
カメラ | |
メインカメラ | camera_rear 48 + 8 + 2MP, F値/1.8, トリプルカメラ, LEDフラッシュ, PDAF |
前面カメラ | camera_front 32MP, F値/2.0, HDR |
センサ類 | 画面内指紋認証センサ, 加速度センサ, 近接センサ, ジャイロ, コンパス, 顔認証ロック |
機能 | 防水 非対応, イヤホンジャック あり |
バッテリー | battery_charging_fullType-C 1.0, 4030mAh |
処理性能
本機には SoC として Qualcomm Snapdragon 665 が搭載されています。
今回の試用においては、ChromeによるWeb参照、メール、LINE通信および通話といった一般的な利用がメインでしたが、ストレスなくサクサク動きました。NetFlix の動画再生も全く問題ありませんでした。
ちなみにAntutuスコアは 約14万ポイントでした。
外観およびデザイン
前面には Corning Gorilla Glass 5 が採用され、背面もガラスコーティングが施されているため、全体としてとても滑らかな触り心地です。かといって背面が特に滑りやすいといったことはなく安心してホールドすることができます。また6.01インチのディスプレイを備えつつも、狭額仕様と高アスペクト比のおかげで 本体幅 71.9mm を実現しており、片手操作も楽にこなせるとても扱いやすいボディサイズです。
今回レビューした機種のボディ色は「Kind of Gray」と呼ばれるもので、写真では再現が難しいのですが、とても上品な灰色です(反射の具合により 濃紺~灰色~薄紫 に見えます)。カジュアル、フォーマル、いずれの場面にも馴染みやすく、男性でも女性でも持ちやすい優れたカラーリングだと思います。
ボタン類と主なインターフェース
<本体右側>
(写真左から)ボリューム、電源ボタン
android機によくあるオーソドックスな配置になっています。ただそれぞれのスイッチの角が丸く、出っ張りも少なめのため、手探りで操作した時に少し判別しにくく誤操作してしまう場合がありました。(ボリュームを下げようとして電源を切ってしまうなど)
<本体左側>
本体左側は SIMスロット のみのシンプルな構成です。
ちなみにSIMトレイは スロット2 を Micro SD と排他利用するタイプです。
<本体上側>
(写真左から)マイク孔、3.5mm イヤホンジャック、赤外線発信ポート です。
赤外線発信ポートについては HUAWEI Mate20 Pro といった高級機種での装備例はあったものの、特に低価格機においては装備されているケースは少ないと思います。最近では近接通信では Bluetooth が多く使われるため、赤外線の出番は少なくなっていますが、リモコンアプリ(ZaZa Remote等)を導入することによって、スマートフォンをマルチリモコンとして利用できるという、地味にうれしい装備だと思います。
<アプリ例:ZaZa Remote>
<本体下側>
本体下側にはスピーカー、USB-C ポートが装備されています。
スピーカーホールらしきものが両側にありますが、スピーカーは写真の左側のみです。
ディスプレイ
6.01インチの有機ELディスプレイが採用されており、コントラストが非常に高い、鮮やかな発色のディスプレイです。ただ若干朱色が強い感じがあり、どちらかというと派手目の発色になるため、ここは好みの分かれるところかもしれません。
ベゼルも超狭額ではないものの、画面占有率は十分な印象です。水滴型ノッチが採用されており、表示への影響もかなり少なめだと思います。(機種によってはノッチの左右を黒くするモードを備えるものがありますが、本機にはその設定はありませんでした)
ただし、残念ながらディスプレイ解像度が今どきのスマートフォンとしてはかなり低く、本機のイメージをダウンさせています。
以下は本機と高解像度の別機種との同画面比較です(撮影しているカメラが同一では無いため、あくまで参考としてご参照ください)
<本機:HD+ (1560 x 720)>
<Huawei Mate 20 Pro:WQHD+ (1440 x 3120)>
少し厳しめの比較ではありますが、圧倒的に本機の精細感不足がわかります。
本機の前モデル(Mi A2) と比較した場合、IPS液晶から有機ELに変更され、ノッチ採用によりディスプレイが大型化された(他にも機能追加・性能向上あり)とはいうものの、ディスプレイの品質イメージを大きく左右する解像度が低下(フルHD+ → HD+)したことにより、せっかくの高コストパフォーマン感にマイナスイメージを与えていると感じました。
本人認証機能
Mi A3には、これまでの同価格帯のモデルやミドルクラスのモデルでは考えられなかった「画面内指紋認証」機能が搭載されています。
<待機画面>
<設定画面>
さすがに認証スピードはハイレンジ機(Samsung Galaxy S10 など)のレベルには至りませんが、Huawei Mate 20 Pro より少し劣る程度でした(ロック解除まで平均0.5秒程度のイメージ)。これは本機のコストから考えると十分なレベルではないかと思います。
また、セルフィーカメラによる顔認証機能も備わっているため、日中は顔認証を、夜間や暗所では指紋認証を用いることにより、面倒な入力操作なしにロック解除することができます。
<設定画面>
顔認証機能も早さはそれほどではありませんが、ほぼ失敗することなく認証されます。
たまに目の開き方が少ないと「目を開いてください」と警告が出ますが、指示に従うとすぐに反応してくれます。
また口元については隠れていても概ね認証されることから、本機は目の特徴を重点的に判定しているものと思われます。
カメラ
Mi A3カメラのレンズ構成は以下の通りです
背面:
- 標準レンズ : 48MP F1.79
- 超広角レンズ : 8MP F2.2
- 深度計測レンズ : 2MP
↓左から:(フラッシュ、)深度計測レンズ、標準レンズ、超広角レンズ
前面:
- セルフィーレンズ 2MP F2.0
サンプルショット
以下、本機によるサンプルショット{写真モード、夜景モード}をご覧ください。
※カメラ機能には上記の他{ショートビデオ、ビデオ、ポートレート、パノラマ、プロ}の全7モードがあります
写真モード:x0.6
超広角側は画素数も少なく、周辺部には歪みが目立つものの、風景や建築撮影にはやはり重宝します。
夜景モード(屋外):x1
夜間でもノイズが取り立てて目立つこともなく、十分なレベルで撮影ができます。
夜景モード(室内):x1
実際はこの3倍ぐらい暗いイメージですが、特に調整なしでこのレベルの明るさで撮影できます。(ちなみに夜景モードでは撮影後に約0.5秒のホールドが求められます)
こちらは先程以上に暗い場所ですが、これだけの明るさで写すことができます。
写真モード:x0.6
以下、同じ場所で画角を変化させたサンプルです。
写真モード:x1
写真モード:x2
写真モード:x5
写真モード:x8
5倍を超えるとかなり画像が荒れるため、これらはあくまでも記録用途限定だと思いました。
ソフトウェア
android one 仕様のため、電話や時計といったOS標準のアプリおよび Google の主要なアプリ以外は最小限のものしか初期導入されていません。
レビューした機種は ストレージ 64GB モデルですが、初期セットアップ+プリインストールアプリへの最新アップデート適用後で 約48GB の空きがありました。
音質
シングルスピーカーですが、中音域が充実しているため、ボーカルを中心とした曲やスピーカーフォン用として非常に聞きやすい音質になっています。その他普通に音楽再生や動画の音声再生にも十分なレベルの仕上がりです。
バッテリー
本機のバッテリーは 4,030mAhと大容量なものが装備されていますので、通常の利用(数時間のWeb参照、10枚程度の写真撮影、1時間程度の動画鑑賞、多少のSNS等)であれば、余裕で一日持つレベルです。また18Wの急速充電にも対応し、バッテリーの自動調整機能も備えるなど、電源まわりの装備は充実していると感じました。(Qi対応であれば最高ですが、流石にこの価格では望み過ぎかもしれません)
その他の特徴
標準機能によるシャッター音オフ
本機のカメラ機能設定画面にはシャッター音の オン/オフ を設定できる項目があります。これにより、美術館等、シャッター音を控えたい場面での無音化が特別なアプリ等を利用することなく実現できます。
充電パイロットランプ
国産スマートフォンには多く見られますが、海外製スマートフォンには珍しい充電状態を示すパイロットランプが装備されています。
<通常時>
<充電時>
ただし、着信通知等には対応していません。
まとめ
ディスプレイ解像度を考慮しなければ、機能、性能、価格 ともに納得できる一台です。
本機は、画面内指紋認証や狭額ベゼルによる高い画面占有率、超広角カメラといった最新トレンドを押さえつつ通常利用に不足のないパフォーマンスを2万円代で実現している、お値打ちのスマートフォンだといえます。
解像度の低さについては、他のスペックが優れているだけに残念ではありますが、ディスプレイをシンプルに「情報表示装置」と考えれば、十分にその役割を果たすレベルのものであり、そこさえクリアできればおすすめの一台です。
この価格帯でここまでの製品が提供できるということが実証されたことで、今後ますますハイレベルなマシンのリリースに期待がかかります。やっぱりスマートフォンは楽しい!
購入リンク
現在、200ドル以下で購入可能です。発売時価格から値下がりし、かなりお買い得になっています。
画面解像度が低いのは電波が普及しきってなくて動画とかをあまり見ない新興国にターゲットを絞ってるからだろうね