皆さんこんにちは、telektlistライターの中山です。
iPhone SEを発売日に購入し、実際に利用してから約2週間経過しました。今回はiPhone SEのレビューをしていきます。
結論から言いますと近頃は全く使っていません。最初に言っておきますがいい機種なんです、本当に!ほとんどの人にとってはこれで十分でしょうし最高のパフォーマンスを発揮してくれるベストなiPhoneになるはずだと思います。でも尖っているところが何一つ無くてワクワクしないのです。いうなれば大衆車のような、スマホのマイルストーンのような、クラスの何でもこなすメガネのマジメくんのような、「大学卒業してサラリーマンになって30歳で結婚後順調に昇進して退社、その頃には孫も生まれ90歳前後で死を迎えるという、幸せだけど何も起こらず普通の人生だった人」のような...器用だけど凡庸すぎるだけなんです。あのAppleならばもう一歩踏み込んだ機能を搭載してくれるのではないかという希望が、実機を触っていくうちにじわじわ打ち砕かれるように感じました。期待し過ぎなのでしょうね。
何度でもいいますが本当にいい機種ですよ!性能もコスパも最高です。この謎の低評価はただの私の我侭なのです。。。
目次
iPhone SE (2nd Gen.)はiPhone SE (1st Gen.)の後継機種ではない
iPhone 8(左)とiPhone SE(右)
まず最初に申し上げておくべきポイントは、当機種iPhone SE (2nd Gen.)は4インチのiPhone SE (1st Gen.)の後継機種だとは思わないほうがいいことです。
iPhone SE (2nd Gen.)は4.7インチディスプレイでiPhone 8をベースに作られたモデルです。名前こそはiPhone SEですが、iPhone SE (1st Gen.)と比較するのはナンセンスであり、比較対象はiPhone 8などの4.7インチiPhoneもしくはAndroid含むここ1年で販売された現行機種であるべきです。
つまり、SEというブランドは「小型のiPhone」ではなく、「昔の部品を流用したハイコスパiPhone」であったという認識が正しいかと思われます。
通信アンテナ、排熱機構、保守部品の在庫などを考えるともうあのサイズのiPhoneが帰ってくることはないでしょう。小さいiPhoneは死んだんだ。
スペックは申し分なし
SoCが同じのiPhone 11(左)とiPhone SE(右)
それでは本題に戻ります。
iPhone SEの最大の特徴はなんといっても約5万円という価格でSoCに最新のA13 Bionicを搭載したこと。同じSoCを搭載したiPhone 11が約9万円、iPhone 11 Proが約12万円であることを考えると驚異のコスパです。iPhone 11シリーズの半額でほぼ同じスペックなんですよ!
動作はもちろんサクサクで、ほとんどラグを感じません。試すまでもなく重いゲームも問題なくできるでしょう。
カメラが大幅進化
SoCがA13 Bionicになった一番のメリットはカメラでしょう。
分解レポートによると、iPhone SEのカメラはiPhone 8と全く同じだそうです。しかし、iPhone SEはA13 BionicのISPやNeural Engineで大幅に性能がアップしています。
一番わかりやすいのが新たにポートレートモードに対応したこと。シングルカメラでポートレートモードを実現したのはiPhone XR以来です。そのポートレートモードの仕組みも改善されており、ハードウェア的にはiPhone XRのカメラよりも弱いはずなのにiPhone SEのほうが性能がいいという逆転現象まで起きています。A13 Bionicすごすぎ...
iPhone 11とiPhone SEで撮影。どっちがどっちでしょうか。(※タップでオリジナルサイズが確認できます)
実際に写真を撮ってみてもいい写真が撮影できます。明るい屋外であればiPhone 11に劣らない画質です。ちなみに1枚めがiPhone 11、2枚目がiPhone SEでした。違いはわかりましたか?暗いところのノイジーさ、右の花びらの明るいところの質感をドットバイドットで見れば分かる程度の違いですのでほとんどおなじだと思います。
顔を半分隠してもしっかり反応します。ボケの処理も上々。
ポートレートモードもご覧の通り。しっかりと背景をぼかしてくれます。
指でキムワイプを持つ達人の写真を撮ろうと思いましたがどうしても顔から遠いものはボケてしまうようです。ここがシングルカメラの辛いところ。デュアルカメラのiPhone 11であればちゃんと撮影できます。
iPhone 11のポートレートモードで撮影。iPhone SEの純正カメラアプリでは撮影できない。
なおこのポートレートモード、デュアルカメラのiPhoneと異なり「人物のみ」となっています。一方でサードパーティー製アプリで人物以外にも対応しています。詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
iPhone 11のカメラと比較。カメラユニットのサイズが違いすぎる。(基本的に大きいほうが有利)
iPhone SEのカメラの欠点は、ナイトモードや超広角カメラ、望遠カメラがないことでしょうか。
iPhone 11のナイトモードで撮影
iPhone SEで撮影。明らかに明るさが違う
参考:iPhone 11のナイトモードオフの写真。iPhone SEとあまり変わらない。
暗所撮影はナイトモード搭載のiPhone 11には勝てません。
また、超広角や望遠が使えないので撮影の幅に制限があります。
このあたりは人によって捉え方が違うと思います。カメラは日々の生活や授業の板書などの記録用だけであれば全く問題ありません。A13 Bionicパワーで画質は悪くないので、きれいな食べ物の写真をシェアしたいぐらいであっても問題ないかと思われます。
アウトドア派で風景写真を取る人や、ゴリッゴリの夜景撮影をする人などにとっては物足りないかもしれません。しかし、一眼カメラも持っていて、その用途をそちらに任せられるのであれば問題ありません。
Touch ID付きホームボタンは今はいいけど決してクールではない
iPhone SEはiPhone 8と同じくTouch IDとなっています。新型コロナウイルスの影響でマスクをすることが多いこの頃、マスクを外す必要のないTouch IDは非常に便利です。実際、外出時のTouch IDは非常に便利でした。
しかし、新型コロナウイルスの影響がなければどうでしょうか?ホームボタンにTouch IDがつくスタイルってレガシー・時代遅れじゃないでしょうか。
Face ID + Touch Barというスタイルに慣れてしまった今、Touch ID + ホームボタンは色々と使いにくいところがあります。直前のアプリに戻る動作はTouch Barをスワイプする1動作だったのがホームボタン連打からスクロールしてタップという3動作となりました。3D Touchが廃止となったため左端を強押しで切り替えることも不可能です。
「指紋認証でマスクしていても便利!」というのは事実です。しかし、それを狙うのであればディスプレイ内指紋認証のほうがクールです。(もちろん液晶でディスプレイ内指紋認証はできないのでハナから期待していません。)
指紋認証はスマホ決済のときに便利
指紋認証はAppleの企業努力で便利になったわけではないのでそこをアピールするのはなんかずるい気がしますのであえて酷評しましたが、現状外出時は使いやすいということは否定できません。
また、iPhone 8以前の機種を使っている人からすると慣れ親しんだ操作感であり問題ないだろうと思います。
ディスプレイは上下のベゼルが気になる
Touch ID関係でいうと、ディスプレイがiPhone 8から一切進化していないことも気になるポイントです。iPhone SEのディスプレイはiPhone 6から続く伝統的な4.7インチ、1334 × 750 pxの16:9の液晶ディスプレイとなっています。
4.7インチという小型デバイスでいくら画面が綺麗でも自己満足でしかないためディスプレイ品質はおいておきましょう。しかし、ベゼルの太さはいただけません。
左右のベゼルは標準的で気になりませんが、上下のベゼルは2020年のスマホにしては太すぎます。特に、現在Face ID搭載機種を使っている人や、多くのAndroid端末を使っているユーザーからすれば画面が窮屈に感じると思います。その分操作性はいいんですけどね...
なお、Touch IDの項目と同じでiPhone 8以前の機種を使っている人からすれば問題ないだろうと思います。
バッテリー持ちは普通
iPhone SEのバッテリーはiPhone 8と同じ1,821mAhとなっています。
バッテリー持ちは感覚では新品のiPhone 8と同じ、より多くのバッテリーを積んだiPhone 11シリーズよりも持たないといった感じです。外出自粛の影響でスマホの使用率が低くなっているため、日帰り旅行で丸1日持つかどうかの検証はできませんでしたが特段バッテリーもちが良い印象は受けませんでした。
しかし、バッテリー容量が少ない分、充電速度は素晴らしいです。iPhone SEはLightning端子であるものの最大18WのPD規格の高速充電に対応しており、1時間もあれば100%近くまで充電可能です。モバイルバッテリーを持っている場合、充電回数を多くできるメリットもあります。
それでも小型軽量は正義
(個人的には)iPhone SEは触っていてワクワクしない端末なのですが、それでも毎回小型軽量であることに驚かされます。
iPhone SEは148gであるのに対してiPhone 11は194g。ケースを付けると重量差はさらに大きくなります。画面が小さいことも相まってどこもタップしやすいです。が、大画面スマホに慣れていると、買い換える理由にはならない程度の違いだと思います。
Qi対応、eSIM対応・Apple Pay対応などかゆい所に手が届く仕様
iPhone SEはワイヤレス充電のQi、eSIMによるDSDV(デュアルSIMデュアルVoLTE)、そして非接触決済のApple Payに対応します。
「今までのiPhoneもそうじゃん?」と言われればそうなのですが、5万円のスマホでこれらすべてに対応していると考えるとかなりすごいことです。5万円台のAndroid端末でQi、eSIM、おサイフケータイ対応機種ってありますかね?
その点、コスパと性能でiPhone SEとタメを張れるのは(未発表ですが)GoogleのPixel 4aぐらいじゃないかなと思っています。
【まとめ】良いスマホだけど面白みがない
批判点も多々ありましたが約5万円であることを考慮すればTouch IDもベゼルの太さもどれも些細な点となります。安さこそ強さ。
それに、スマホ比必要な機能はほとんど揃っています。電話、ネット、チャット、ゲーム、写真、決済にTwitter。オールマイティーにどれもしっかりとこなしてくれます。他のサイトやYoutuberのレビューも上々、安いし絶対に売れると思います。「スマホなんてなんでもいい」と思っている人や、とくにスマホデビューの人にとっては最高の機種になるでしょう。さながら公務員と結婚するかのような安定感。
しかし、いろいろなスマホを見てきた身からするとiPhone SEはどうしても優等生過ぎて尖ったところのない面白みのない機種に感じてしまいます。(もっともiPhone SEはそういった技術革新を期待するモデルではないということは重々承知しております。)
iPhone SEのサイズでiPhone 11シリーズのようなディスプレイを採用し、生体認証はFace IDかできたらディスプレイ内指紋認証、カメラはデュアルカメラトリプルカメラ。個人的には高くてもいいから、10万出してもいいからそういったモデルを、言うなれば大変だとわかっていながらも国際結婚して海外移住するといったようなドラマティックな、アウトローな結婚をしてみたいです。SEのコンセプトから外れてしまうのでそんな機種が登場することはないのでしょうが。。。
つまり何が言いたいかといいますと、
「一般受けはするけどオタク受けはしない」
コレに尽きます。オタクの私にはビビッときませんでした。
4.7インチiPhoneからのアップグレードにおすすめ
私個人的にはiPhone 8以前の4.7インチiPhoneからのアップグレードにおすすめの機種です。しかし、それ以降のiPhoneをお持ちの方にはおすすめできません。iPhone 8からの進化点はSoC、カメラ、eSIMぐらいですのでそこを重視しないのであればiPhone 8からの機種変更でさえ必要ないのかもしれません。
iPhone SEで十分という人も多いと思います。実際にiPhone SEに機種変更してもこいつはいいパフォーマンスをしてくれるでしょう。しかし、iPhone SEにしても「新しいスマホ買った!」というワクワク感は数日で消え失せるでしょう。スマホは道具と割り切れる人はいいかもしれませんが、telektlistの読者のようなスマホが大好きな人にとっては物足りない一台だと思います。はじめてのiPhoneにはいいかもしれませんが...
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