HUAWEI P40 lite 5Gは今年の初夏に発売されたHUAWEIのスマートフォンであり、さまざまな事業者から発売されて大ヒットしたHUAWEI P30 liteの後継機種です。
最大の特徴はミドルハイのスペックで約4万円というコスパ。64MPのクアッドカメラや40W急速充電もさることながら、機種の名前にあるように5Gに対応し、長く使えるモデルとなっています。
今回はそんなHUAWEI P40 lite 5GをHUAWEI様からお借りすることができましたのでレビューし、その魅力をお伝えしていきます。
いいところ
○約4万円なのに5G対応
○去年のハイエンドレベルのスペックの高さ
○メインカメラがハイエンドスマホレベル
○驚異的なバッテリー持ちと充電速度
わるいところ
×Google製のアプリが使えないこと
気になるところ
・ガタつく本体デザイン
・超広角カメラは値段なりの画質
※今回お借りしたのはレビュー用の端末です。発売済みの製品版とは異なる部分もありますのでご注意ください。
目次
外観レビュー
なにはともあれまずは外観、デザインからチェックしましょう。
外箱は最近のHUAWEIらしいシンプルなものです。AppGallery対応であることが明確に書かれています。
本体はこんな感じ。今回お借りしたのはミッドナイトブラック。HUAWEI P40 Pro 5Gとはうってかわって光沢感があり、吸い込まれるような黒となっています。ディスプレイ側も黒となっていますのでシンプルでかっこいいです。
手に持ったときのグリップ感も良く、滑り落ちるということはなさそうです。
(HUAWEI公式サイトより)
ちなみに他にもスペースシルバー、フラッシュグリーンというカラーがあります。
ひときわ目を引くのはカメラユニットです。最大64MPのクアッドカメラとなっており、カメラ性能に期待できそうです。
側面はマットな質感となっています。右側面には指紋センサー付きの電源ボタン、そして音量調整ボタンがあります。
底面は左からイヤホンジャック、マイク、40W急速充電対応のUSB-Cポート、スピーカーとなっています。
イヤホンジャック搭載は嬉しいポイントですが、スピーカーは2本の線の中心にある一方でイヤホンジャックとUSB-Cポートが下側に少しずれているのが気になります。
なお、左側面にはSIMカードスロット、上面にはマイクがあります。
SIMはnanoSIMが2枚入ります。また、nanoSIMと同じサイズのメモリーカード、NMカードにも対応しています。
ディスプレイ側はこんな感じ。下部のベゼルが少しだけ太い(5mm)ですが、全体的にベゼルは細いです。
インカメラはパンチホール式。左上にあり目立たず、デザインを損ないません。
使用していて気になったのがカメラの出っ張りです。カメラユニットが厚いため、デスクに置いて使用するとがたがたします。
もちろん手に持って使用する分には全く問題ないのですが、デスクにおいて操作することが多い方はケースを装着することをおすすめします。
ポート類が若干ずれているとはいえ、カラーの作り込みや全体の質感など、総じてHUAWEI P40 lite 5Gのビルドクオリティは高く、満足できるとおもいます。
【内部スペック】値段以上のスペックでサクサク動く!
HUAWEI P40 lite 5Gは8コアCPU、6コアGPUで7nmプロセスを採用したHUAWEI Kirin 820を採用しています。
このKirin 820がかなり高性能!ベンチマークソフトのAntutuでは約35万点というスコアをが出ます。これはSnapdragon 845相当、Snapdragon 765Gよりも良い結果、Pixel 3とPixel 4の間ぐらいというミドルレンジと呼んでいいのか悩むほどハイスペックとなっています。
動作もハイエンドスマホさながらのサクサクであり、4万円という価格でこのスペックのスマートフォンが手に入るのは素晴らしいです。3Dゲームなど重たい作業も問題なくこなせ、同価格帯のスマートフォンの中では最高のスペックとなるのではないでしょうか。
RAM・ROMも6GB+128GBと申し分なく、快適に利用することができました。
スペックの低いスマートフォンはデュアルアプリの動作が重くなったりすることがありますが、メモリの多さも相まってHUAWEI P40 lite 5Gはアプリを2つ同時に利用していてもサクサク動きます。
驚いたのが指紋認証が爆速なこと。私が今まで使ってきたスマートフォンの印象から側面の電源ボタン一体型の指紋認証は遅いし精度も悪いと思っていたのですが、その考えが一転!失敗することない上、指を乗せた瞬間にすでにロックが解除されており、使っていて気持ちいいです。
【カメラ】最大6,400万画素のクアッドカメラで美しい写真が撮れる
HUAWEI P40 lite 5Gは本体の左上にクアッドカメラを搭載しています。
このクアッドカメラの構成は以下の通り。写真右から、
(HUAWEI公式サイトより)
- 超広角カメラ:800万画素、F2.4
- メインカメラ:6,400万画素、F1.7
- 被写界深度カメラ:200万画素、F2.4
- マイクロカメラ:200万画素、F2.4
最大の特徴は6,400万画素・1/1.7インチセンサー(Xperia 1 Ⅱと同じサイズ!)のメインカメラとマクロ撮影(近接撮影)ができるマイクロカメラが搭載されていること。
これら4つのカメラに加えて、Kirin 820に搭載されたHUAWEI Kirin ISP 5.0で、写真やビデオのノイズ除去といった画像処理がうまい具合に施されます。
なにはともあれ作例から見ていきましょう。(特筆されていなければすべてノー編集です。)
メインカメラ:解像感、色味、夜景モードなど、すべてがハイレベル!
(タップで拡大)
神社にある花手水をメインカメラで撮ってみました。色の表現度が高く、緑とマゼンダのコントラストが美しいです。
ここで注目してほしいのが64MPの解像感。水に濡れた花の質感がそのまま伝わってくるような写真に仕上がっています。
また、昨今のスマホカメラは食事がきれいに撮れるか、つまりメシウマ写真が撮れるかというのが大事なポイントになっています。その点P40 lite 5Gはクリアしています。
(タップで拡大)
食事にカメラを向けるとAIで食品を認識し、自動でそれに最適化されたモードになります。
明るめに撮影することでコシのある太めのうどんの艶感、めんつゆの透明度がよく伝わってくる一枚に仕上がりました。
(タップで拡大)
また、被写界深度カメラによる背景ボケも自然でかなりいいです。
ポートレートモードでよくある「近づきすぎて撮影できない」問題もなく、快適に背景ボケのある写真の撮影ができました。
(タップで拡大)
夜景モードも使いやすく、撮れる絵もハイレベルです。
夜景撮影はイエローよりの絵が出てきがちですが、P40 lite 5Gは寒色系であり、都会の夜景写真と相性がいいです。
拡大してみても解像感の申し分はなく、満足度が高い写真がとれます。
(※P40 lite 5G、タップで拡大)
この写真であればビルの光がない部分を拡大してみてもコンクリートのソリッドな質感がしっかりと描写されています。あとから編集しなくてもそのままSNSに投稿しても映える夜景写真が撮影できることには驚きました。
私が普段愛用しているiPhone 11と比較してみてもそれに劣らないレベルで、それどころかむしろ凌駕しているほどの画質です。約4万円のスマートフォンですよ、これ。何か間違えていませんかね?
超広角カメラは画角が狭いことと画質が気になる
メインカメラで撮れる絵が美しかったので超広角カメラにも期待していたのですが、そちらは「おや?」という点が何点かありました。
(※P40 lite 5Gで撮影、タップで拡大)
まず気になるのは画角。P40 Proでも同じだったのですが、超広角はメインカメラよりも広くはあるのですが他社と比べるとどうしても狭く、ダイナミックさに欠けます。
また、悪条件下での画質も気になります。P40 Pro 5Gは超広角カメラの夜景モードに対応していましたがP40 lite 5Gは夜景モードに非対応。写真左下の柱を見るとノイズで写真が滲んでしまっています。
(タップで拡大)
比較対象として同じ場所から撮影したiPhone 11の超広角カメラの作例を載せておきます。画角や画質の違いは一目瞭然。ただ、それぞれ4万円のスマホと8万円のスマホであることは忘れてはいけません。
(タップで拡大)
昼の写真はどうでしょうか。明暗差の激しいシーンですが、それでも手前の草の表現ができている一方で、写真が全体的に暗い、雲の立体感がなくのっぺりとしている印象を受けます。
P40 Pro5GやP40 lite 5Gのメインカメラが素晴らしかったのでそれらと比較すると超広角カメラは少しがっかりするものの、それでも4万円のスマートフォンの中では大健闘に値する部類に入ると思います。
マイクロカメラはひたすらに楽しい!...けど改善の余地あり
P40 lite 5Gのカメラにはマクロ撮影(近接撮影)ができる200万画素のマイクロカメラが搭載されています。
(タップで拡大)
このカメラは小物の物撮りに役立ちます。私が普段愛用している小さいケースの腕時計ですが、こんなにも大きく写すことができました。
(タップで拡大)
花の写真との相性もかなりいいです。キクを撮影したのですが、光があたっているところと花の根元の暗いところとのコントラストが美しく、まるでマクロレンズで撮影したかのような写真が撮れます。
しかし、その一方で気になるのが解像感。ほぼ1080pである200万画素はやはりどうしてもあらが目立ちます。実際拡大してみるとがじつが残念であるので拡大しないで鑑賞する他ありません。全力投球するところではないのはわかりますが、それでも1200万画素、それは無理にしてもせめて500万画素はほしいところです。
また、マイクロカメラの位置が大問題!
マイクロカメラはクアッドカメラユニットの一番内側に置かれています。
マイクロカメラはその性質上、被写体に近づいて撮影します。その距離4cm以内。当たり前ですが横から光を入れる等の工夫をしない限りP40 lite 5G本体の影が写ります。(よく見ると腕時計の写真にP40 lite 5Gが写っているのがわかると思います。これでも横からライトを当てていて光にはかなり気を使ったのですが...)
せめて一番外側(角側)に置かれていれば影の影響が少なかったのですが、悲しいかなマイクロカメラは一番内側です。つまり、影の影響が一番出やすいところです。また、フラッシュからも遠く、フラッシュ光の活用も難しいです。
マイクロカメラを使い込んでいるのであればここに置こうとは到底思えないはずです。なぜこんなところにマイクロカメラを搭載したのでしょうか...
※設計上の制約等があるのかもしれません。
カメラ性能まとめ:楽しいし実用的なカメラ
(メインカメラで撮影、Lightroomで編集。タップで拡大できます)
私個人的にはカメラでいちばん大事なのはどれだけ幅広い撮影体験ができるかという点です。この視点から言うと、HUAWEI P40 lite 5Gには優秀なメインカメラだけでなく楽しく撮影できるマイクロカメラが搭載されていたり、他にも超広角カメラ、夜景モードやポートレートモードもあり、反射低減モードや歩行者削除モードがあるP40 Pro 5Gほどではないにしろ、かなり幅広い撮影ができます。
(メインカメラで撮影、Lightroomで編集。タップで拡大できます)
それだけでなく画質が追いついていることも大事なのですが、P40 lite 5Gはメインカメラは素晴らしく、完全に合格ですが、超広角カメラとマイクロカメラは惜しいところまで来ていてあとちょっとという感じでした。せめて超広角カメラで夜景モードが使えたらなぁ...
(マイクロカメラで撮影、Lightroomで編集。タップで拡大できます)
いいところ
○メインカメラはiPhone 11に引けを取らないほど本当に優秀
○夜景モードで撮れる絵が美しい
○色の表現が素晴らしい
○マイクロカメラという存在が新鮮で楽しい
わるいところ
×超広角カメラの画角、画質、夜景モードがないところ
×マイクロカメラの位置と画質
【ディスプレイ】美しい6.5インチTFT液晶
HUAWEI P40 lite 5Gは2400×1080ピクセルの6.5インチ液晶ディスプレイを採用しています。
このディスプレイ、有機ELではないのに明るくて視認性がいい上、色域も広くとても美しいです。
上記の作例の写真を表示したP40 lite 5Gですが、明るい場所でもこのようにしっかりと見ることができます。
また、20:9の縦に長いディスプレイもGood。デュアルアプリが使いやすいです。ベゼルが狭い上、パンチホールも小さく見た目も利便性もかなりいい高品質なディスプレイです。
【バッテリー】4,000mAhで長時間駆動、40W充電もGood
HUAWEI P40 lite 5Gは4,000mAhのバッテリーを搭載しています。
5G対応スマートフォンの中では標準的な容量ですが、バッテリー持ちはかなりいいです。
Twitter、ウェブブラウジング、カメラをメインとしたサブ機としての運用をしていましたが、なんと約3日間もバッテリーが持ちました。あまり他の機種を利用していないので比較は難しいですが、私の持っているどのサブ機よりもバッテリー持ちが優秀です。
また、P40 lite 5Gは40WのHUAWEI SupreChargeに対応しています。40W充電器と対応する充電ケーブルが同梱されているため、30分で最大約70%の超急速充電が可能です。
なお、ワイヤレス充電には非対応となっています。残念。
【5G】5G対応で長く使える機種
HUAWEI P40 lite 5Gは名前の通り5Gに対応しています。対応バンドは以下の通り。
- 5G NR: n1/3/28/38/41/77/78/79
- 4G FDD LTE: B1/2/3/4/5/6/7/8/12/17/18/19/20/26/28/66
- 4G TDD LTE: B34/38/39/40/41
- WCDMA: B1/2/4/5/6/8/19
- GSM: 850/900/1800/1900 MHz
日本の5GはSub-6としてn77, n79、ミリ波としてn257が提供されています。P40 lite 5Gは国内の5Gだけでなく、海外の5Gも利用できるようになっています。もちろん4Gもすべての周波数に対応しており、インターネットで困ることはなさそうです。
5Gはお世辞にも未だに普及しているとは言えず、今の環境では5Gに対応していることのメリットが薄いです。しかし、5G対応であるということは将来5Gが普及した時期にも対応できるスマートフォンであるということです。P40 lite 5Gの悪くないスペックも相まって長く使える機種であると言えるのではないでしょうか。
GMS非搭載であることは小さくないデメリット
昨今のHUAWEIを取り巻く情勢より、HUAWEI P40 lite 5GはGMS(Google Mobile Service)、つまりGoogle製のアプリやGoogle Play開発者サービス等が利用できず、その代わりにHMS(Huawei Mobile Service)が搭載されています。
先月時点のHuawei AppGalleryの充実度に関しては、下記リンクの先にある記事にまとめています。Amazon公式サイトからAmazonアプリストアをインストールすることでAppGalleryを補完するのがおすすめです。
また、近頃新たに「Petal検索」という新機能が加わりました。そこではAPKPureといった野良アプリの配布サイトのアプリを検索、そしてダウンロードすることが可能となっています。
もちろん動作保証もサポートもないですが、Petal検索から一発で調べられるのは便利です。こういった新機能を活用することである程度快適に利用することが可能となっています。
その他細かいところ
防水には非対応
HUAWEI P40 lite 5Gは公式には防水に非対応ですのでご注意ください。
おサイフケータイなし
HUAWEI P40 lite 5GはNFCが搭載されていますが、FeliCa、おサイフケータイは非搭載となっています。また、HMSであることからQRコード決済が使えず、キャッシュレス決済はほとんどできません。
まとめ:日本発売されている5G機の中で最もコスパが良い
現在、日本で販売されている5G対応スマホはどれも10万円近い価格です。その中で、約4万円で購入できるHUAWEI P40 lite 5Gは異色な存在であり、低価格で購入できる5Gとしてかなり完成度の高い1台であると感じました。
一方で、メーカーやキャリア、そして私含むメディアが5Gを推している中、現状の5G網の穴の多さ、ユーザーがどれだけ5Gを必要としているかを考えると格安5Gスマホとしての需要は微妙かもしれないです。しかし、5Gを抜きにしても4万円台のスマホの中で頭一つ飛び抜けたスペック、優秀なカメラ(特にメインカメラ)、美しいディスプレイにスタミナのあるバッテリー周りという点からもかなり優秀なスマートフォンであるとも言えます。
最大の欠点は皆さんお察しの通りGMS非搭載なこと。意外と使えるとはいえ、どうしても使い勝手の点からはGoogleがあるに越したことはありません。
GMS非搭載となると、P40 Pro 5Gのカメラ性能のようにどこか尖ったところがあるとそれ目当てで買うことを検討できるのですが、P40 lite 5Gはバランス型。どの性能も同じ価格帯の他社スマホよりも優れているのにGMS非搭載という最高に尖った部分がマイナスに働いているのが残念な一台なのです。バランス型である以上、なんの用途で買うのかを明らかにしておかないと幸せになれないと思います。
ではなんの用途がいいかと言われるとやはり4万円で5Gが試せることかなと感じます。GMS非搭載であることから手放しにおすすめできるスマートフォンではないですが、自力で手探りでアプリを探していけるギークな人で、5Gスマホを試してみたい方にはコストパフォーマンスのいい最有力候補になるのではないのでしょうか。
ナカヤマユウショウのコメント
ハードウェア自体は約4万円とは思えないほど最高です!
GMSさえあればP30 liteレベルの覇権になってたかもね。
Felica/防水無し、しかもGoogleも使えないのに
コスパ良いってなんだよw
って思ったらHuaweiのPR記事かwww