パソコンはMac派かWindows派かという議論がなされがちですが、Chromebookの存在も忘れてはいけません。
日本国内ではまだまだ知名度の高くない Chromebook ですが、使ってみると「これを使わない手はない!」と思えるとても魅力的なガジェットであることがわかりました。一言でいうと「PCとスマートフォンのイイトコどり」。インターネット接続環境が十分に整った現在、あらゆる意味で(物理的にも、システム環境再現性でも)ポータビリティの高い Chromebook、オススメです。以下に私が数週間試用してわかったこと、気づいたことをレポートします。
目次
購入の動機
スマートフォンの画面では不足のあるアプリ(電子雑誌など)の利用や、外出先で長文入力をしたい時に、Note PC スタイルでありながら軽量でしっかりした作りの端末がほしいと思っていたところ、Chromebook の存在を知りました。
調べてみると、ネットワークに接続していることが前提となるものの、一連のGoogleアプリケーション利用に最適化されていること、また Android アプリも導入できるという良さに気づきました。加えて価格も手頃なものが多いことから、ガジェットマニアとしては試してみるしかないと思い、即決で発注しました。
Chromebookとは
ひとことでいうと、Googleのブラウザ「Chrome」だけを搭載したPCです。
Chromebook 上のアプリはすべて「Chrome」ブラウザベースで稼働し、(原則として)ファイルの保管は Google Drive 上となります。よって、ローカルには多くのストレージは必要無く、また端末を変更してもクラウドベースでデータや設定が引き継ぎ・再現されるため、PCの故障によるデータ損失リスクを回避しながらデスクトップ環境を維持することができます。
また、OSも常に最新状態にアップデートされるため、Windows のように「しばらく使用していなかった後に起動すると数時間もアップデートが実行され端末を利用できない」といったようなこともなく、常に(ほぼ意識しない状態で)最新のOS環境が利用できるということになります。
一方で、通常のPC利用におけるキラーコンテンツである Microsoft Office は利用できません。しかし、Google スプレッドシートやドキュメントを利用することにより、大概の機能は代用可能です。
これらはライセンスフリーであることから、今後ますますG Suiteが普及する可能性が高いと思われます。業務上での Officeファイルの互換性確保といった要件がある場合以外は特に問題になることはないでしょう。
安定したインターネット接続環境をベースに、Googleの幅広いオンラインサービス群を効率的に利用できるツールがChromebookであるといえます。
スペック
今回レポートする端末の仕様は以下の通りです
メーカー | ASUS |
製品名 | Chromebook C101PA |
CPU | OP1 Hexa-core (Dual A72, Quad A53) 2.0GHz |
RAM | 4GB |
ストレージ | 16GB eMMC |
ディスプレイ | 10.1インチ(1,280 × 800) TFT液晶 グレア マルチタッチ対応 |
ネットワーク | Wifi 11ac、Bluetooth 4.2 |
インターフェース | USB Type-C ×2、USB 3.0 ×1、mircroSDスロット x1 |
サイズ | 幅262.8 × 奥行182.4 × 厚み15.6 mm |
重量 | 約900g |
購入先と価格
国内ネットストアにて、約35,000円にて購入
パッケージの特徴・内容
パッケージは簡素なダンボール製でした。あくまでも保護・運搬用であり、UX (User eXperience) の一環といった演出はありません。内容物は、本体、USB-C タイプ充電器(ケーブル一体)、スターティングガイドとシンプルです。
外観デザイン
外装は上下シェルともにマット仕上げのアルミ製で、落ち着いた印象を与えている上に、シェルのフチは鏡面仕上げとなっていて、全体として価格帯以上の高級感を感じさせる仕上がりとなっています。
天板中央には「ASUS」のロゴ、左上にはクロームのアイコン(4色マーク)と「chrome」の文字がプリントされており、この端末が Chromebook であることをアピールしています。
一方、液晶を開いたキーボード面については、同様にアルミ製ではあるものの、ヘアライン仕上げとなっていて、クローズ時の外装とのメリハリが感じられるデザインです。ヘアラインの表面は比較的なめらかな仕上げとなっていて、指紋や手垢が目立ちにくく、また拭き取りも容易で、気持ちよく使い続けることができます。
液晶パネルについては、現在の主流からすると若干広めのベゼルになっており、人によっては古さを感じるかもしれませんが、360°ヒンジを活かしてタブレットモードにしてタッチパネルを利用することを考えると、誤動作防止に役立つデザインであるといえます。
各種インターフェイス
スクリーン
液晶パネルは10.1型とコンパクトなものではありますが、解像度は十分に高く、通常のWeb参照、文書作成に不足はありません。発色も自然なもので目に優しい印象です。
パネル表面はグレア仕上げのため、どちらかというと、光沢感や精細度が求められる写真・動画鑑賞に向いていると思います。(私は文書参照/作成がメインのため、アンチグレアフィルムを貼っています)
キーボード
キーボードについては、本体サイズから、やはり多少の手狭感は感じるものの、慣れれば長文入力にも耐えられるレベルのキーサイズを確保しています。タッチとしては少し返りが強いですが、その分しっかりした打鍵感が得られます。
ただ、軽量なキーに強めのスプリング、といった感じの組み合わせからか、比較的タッチ音は大きく出ます。静かな場所(図書館など)では、多少気になるかもしれません。
キー配置については、基本的にWindows PCとほぼ同様のため、Windows に慣れている方には特に違和感は無いと思います。気になった点としては、Delete キーがなく、Alt+Backspace となり、Mac の操作感と同様であるところです。ただ、いずれにしても変則的なキー配置等は無く、すぐに使いこなせるものです。
一点残念な点を挙げるとすると、多くの Windows PC の「変換」キーにあたる場所が本機では「かな」キーとなっているため、変換(スペースキー押下)時にこの「かな」キーをつい押してしまい、変換前の文字列が確定されてしまう、ということが往々にしてあります。これにより、せっかくの入力がやり直しとなり、頻発すると地味にストレスが溜まります。
これへの対処としては、より右親指を伸ばしてスペースキーを確実に叩くようにする、あるいは左親指で変換するクセをつけるなどが挙げられます。私は左親指で叩くことにし、早々に慣れることができましたが、キーボードのリマッピングができるのであれば「かな」キーを「変換」キーにリマップしたいところです。
タッチパッド
タッチパッドの出来は、ひとこと「良好」です。Windows PC のタッチパッドは、マウス利用不能時の応急品的なレベルのものが散見されますが、本機のそれは Macbook のものにより近いと言えます。私が ノートPC に強く求めるものは携行性の高さと作業フットプリントの小ささであるため、マウス利用を前提としなくて良い点は非常にポイントが高いです。
ファンクションキー
デフォルトでは、最上部のキーは Chrome OS機能キーとして、音量や明るさのコントロール、戻る・進むキーなどが割り当てられています。これはこれで便利なのですが、Chrome OS の設定を変更することにより、Windows PC のFキーと同様に利用できるようになります。
これにより、例えばF2キーでスプレッドシートのセル内編集を開始したり、Ctrl+F4 でウィンドウを閉じたりするなど、これまでの Windows で慣れ親しんだ操作感が確保できます。
(Chromebook 本来の機能キーは通例の CapsLock 位置にある「検索」キーを押しながら対応する最上部キーを押すことで呼び出せます)
スピーカー
重みのある音では無いため、音楽を聞く上では不足を感じる一方、中高音のヌケは良く、恐らくTV会議等には向いていると思います。
外部インターフェース
ポート類はすべて本体右側に集められています。
(USB-A x1、USB-C x2(いずれも充電対応)ヘッドフォンジャック、microSDスロット)
本機グレードのマシンの入出力としては十分です。強いて言うなら、USB-C ポートが1つでも左側に配置されていれば充電時のケーブル取り回しの自由度が上がり、使いやすくなると思いました。
電源ボタン、ボリュームコントロール、パイロットランプ類
本体左側にポートは一切無く、電源ボタン等が集中して配置されています。
本機の良いところ
■バッテリーの持ちがよい:8時間程度(文書作成中心)は余裕で持ちました(残容量:40%)
■USB-Cポートで充電可能なため、充電環境が容易に手に入る
■タッチパネルを採用しており、PCスタイル、タブレットスタイルでも利用可能
■タッチパッドの性能が高い(作図などの特別な作業以外、マウス不要)
■軽い(約 900g)
本機の残念なところ(改善希望点)
■「かな」キーの位置(変換動作時に誤押下してしまう)
まとめ
上記の通り、極めて欠点が少ない端末です。ガジェット好きはもちろんのこと、一般的なPC利用者(画像編集等高度なAV編集機能等を必要としないユーザー)にもおすすめできる、まさに「現代の紙とエンピツ」です。記事内では Windows 環境との比較で、こちらを「副」とする表現をしましたが、場合によっては今後、こちらが「主」になってくる可能性もあると個人的には感じています。(メインPCを、大型モニタと豊富なI/Oを備えた Chromebook に変えることも検討しています)
海外では教育用や業務用のシンクライアントとして活用が広がっているようですが、ある意味セキュアなコンピューティング環境を維持できるクラウド端末でもある Chromebook は、今後ますます日本国内でも広がっていくのではという印象を持ちました。
手ごろな価格で、タブレットよりも様々な使い方ができるChromebook ASUS C101PはAmazonで購入が可能です。
> 今後ますます日本国内でも広がっていくのではという印象を持ちました。
約5年前に前モデル100PAを買った頃に同じように思っていました。
かな入力が必須でなければ英語版の方が使いやすいですよ。