先日、Googleからフラッグシップ級のスマートフォンであるPixel 3/ Pixel 3 XLが正式発表されました。
Snapdragon 845を搭載し、ディスプレイ品質を評価するDisplayMateから、最も品質の良い有機ELと評されたディスプレイを採用し、日本向けにBand 19の対応、Felicaの搭載などもされた機種になっています。
Pixel 3 / Pixel 3 XLの詳しいスペックはこちらから
ソフトウェアに関しても、GoogleらしくAIを活用したものに仕上がっています。その傾向が最も出ているのは「カメラ」であると思います。Pixel 3は今のトレンドであるデュアルレンズは採用せず、シングルカメラであり、ソフトウェア的に補助を入れることでデュアルレンズと似た機能を持たせています。
今回はその、多岐にわたるカメラ機能を一つずつ紹介していきます。
目次
カメラのスペックまとめ
アウトカメラは1220万画素、F1.8のシングルカメラです。今となっては当然の機能とも言えますが、光学式手ぶれ補正やデュアルピクセルAF、2色LEDによるフラッシュに対応しています。
インカメラは800万画素、F1.8の標準カメラ、そして800万画素、F2.2の広角カメラを搭載しています。アウトカメラがシングルで、インカメラがデュアルという謎構成になっています。広角カメラがすごく、なんとiPhone XSより184%も広く映すことができます。
また、「Pixel Visual Core」というチップを搭載しており、画像をソフトウェア的に処理したりAIによるサポートをします。このチップの機能よって様々な機能がPixel 3のカメラに搭載されました。
それではそれらのカメラ機能を見ていきましょう。
・Google Lens
Google Lensとは、カメラを通して得られた画像から、場所ならその場所の情報、動植物なら何の動植物なのか、そしてモノならその商品情報をWebから引っ張ってきて表示する機能です。
今まではこのような検索は、場所や動植物、商品の名前などのキーワードを探すことからしなければならなかったでしたが、GoogleのAI技術がフル活用された画像認識技術(Google Lens)によって、カメラをかざすだけで簡単に検索できるようになりました。
このGoogle Lens、発表されたのは2017年5月ですが、今までは写真からロードして検索するというだけでしたが、Pixel 3ではリアルタイムで使えるようになりました。今の段階ではPixel 3シリーズのみですが、ソフトウェアアップデートで他の機種にも来る予定になっています。
また、今までは英語のみ対応でしたが、Pixel 3からは何と日本語にも対応しました。ひらがな、カタカナ、漢字の読み取りをし、日本のWebサイトでも検索してくれるようになったので、日本でもちゃんと使えるようになります。これで今まで知恵袋などに「これなんですか」と投稿して返答を待つといったことも、Twitterで「これ知ってる人いる?」と聞くこともなくなると思います。
・Super Rez Zoom
Pixel 3シリーズのカメラはシングルカメラであり、iPhoneなどに搭載される望遠レンズがありません。しかし、シングルカメラながらもPixel 3はズームをしても解像度が大きく落ちることはありません。
Pixel 3にはSuper Rez Zoomというズーム時の高解像度化機能が搭載されています。この機能により、望遠時に、望遠レンズを積んいるiPhoneやGalaxyにも負けない高解像度の画像を散ることができます。
仕組みとしてはこうです。
一枚の撮影の時に何枚かピクセルを半分ずらした画像をとっておき、ずらした量、そしてピクセルから得られた色データをフーリエ解析にかけることで、一つのピクセルからより多くの画像データが得られ、より高解像度になります。
丸を一つのピクセルだとすると、右のようにして何枚かずらして撮ることで、丸の間の画像情報を得てしまおうという仕組みになっています。
この仕組みはNASAによる火星表面の画像解析や、身近なところでいうと、一眼カメラの解像度を上げるハイレゾショットなどに使われています。Pixel 3シリーズはこの技術をスマートフォンで取り入れました。
ただ、この技術は手ブレがない状態で何枚かをとることを前提にしているので、明るい屋外の風景写真などではうまく稼働するとは思いますが、動いているものや夜間撮影など手ブレが起きやすい状態だと使えない可能性が高いです。
まだ私は触ったことはありませんし、ネットでレポートが出ていませんので実際のところはどうなのかわかりません。しかし、これらの手ブレが起きやすい状況でもうまくSuper Rez Zoomが機能するようAIがサポートしてくれることに期待しています。
・Night Sight
他にも、暗いところを自動的に明るくする機能のNight Sightがあります。
カメラで画像を撮る時に、暗いところと明るいところを自動認識し、ソフトウェア解析で色を補正し、暗いところを明るく仕上げます。これによって暗いとこでフラッシュを使う必要がなくなりますので「眩しい!」となったり、フラッシュ独特の不自然な影もなくなります。
機能としては、LightroomやGIMPなどの、画像加工ソフトによくある「シャドウ部分の持ち上げ(明るくする)」という機能に色補正もついたというだけですが、それを全て自動認識して自動でやってくれるというのは結構助かる機能であると言えるでしょう。
ただ、ソフトウェア的に暗い部分の明るさを持ち上げただけだとノイズが乗ることが多いです。これをGoogleはどこまで補正できているかが注目ポイントですね。
・ポートレートモード
Pixel 3のカメラはシングルカメラですが、なんとデュアルカメラに多く搭載されているポートレートモードに対応しています。
これは、GoogleのAIが、一つ一つのピクセルに関して「これは人(もの)なのかどうか」というのを判断し、背景にぼかしをかけるという加工をするという仕組みになっています。
デュアルレンズ搭載機種と違って被写界深度情報(カメラから何m離れているかの距離情報)がないため、わりかしパキッと人と背景が分かれるそうですが、それでもシングルカメラで背景ボケが楽しめるのは嬉しいですね。
また、どれが人でどれが背景かという情報はずっと保持しているようで、デュアルレンズを搭載しているiPhoneなどのように、後からボケ量の調節することや、背景を真っ黒にしたり違う色にしたりする機能(GoogleはColor Popと呼んでいます)も搭載します。
・Motion Auto Focus
次に紹介するのはMotion Auto Focusです。
これは、カメラ起動時に動いているものをタップすると、それにオートフォーカスを当て続ける機能です。
一眼カメラでいうAF-C(オートフォーカス・コンティニュアス)モードですが、一眼とちがってスマートフォンはあまりボケませんので大きくピントを外すことはありません。しかし、公式にサポートされているのならば、ピントの合った高解像度画像が撮れる確率が上がるという安心感があっていいと思います。
・Top Shot
Top Shotは、写真を撮る時に連写をし、連写した画像の中から目を閉じていない写真とか、オススメの写真を提案する機能です。
こういう時は3枚目を提案してくれます。
Googleは、AIに「こういう写真がいいものでこういう写真は良くないものだ」という学習をさせています。Top Shotは、学習したAIによっていい写真を提案してくれるのです。
また、この連写した画像は全て残っていて、マニュアルで自分が好きな画像を選ぶこともできます。
こういうと今までのスマートフォンにも似たような機能あったし何がすごいんだという話になりますが、おそらくGoogleのAIがすごくて精度がいいということなんでしょう。
ただ、バーストの画像データは重くなるはずなので、ストレージが逼迫されることがあるかもしれません。ただ、Pixel 3で撮影された写真はGoogle Photoに無制限にアップロードできますので、あまり心配しなくてもいいかもしれませんね。(これについては後述します。)
・PlayGround
PlayGroundは、カメラを通して写真の中にものやキャラクターを入れ込み、それを動かすAR技術です。
技術としては素晴らしいのですが、正直お遊ぶぐらいしか使いどころがわかりません。みなさんAnimojiやQmojiなど、こういうエンタメ系のARって使いますでしょうか?ひょっとするといま流行っているYouTubeやTikTokなどの動画共有アプリで活用できるのかもしれません。
様々なキャラクターなどが使えますが、今の所Googleが用意したもののみとなっております。Google Play Store経由でサードパーティのキャラクターが動かせるようになったら「◯◯限定!◯◯のARキャラクター配信」など、エンタメ要素としてより使われるようになるかもしれませんね。
・Photo Booth
最後に紹介するのはPhoto Boothです。
インカメラで自撮りするときなどに、笑顔や変顔になった時にソフトウェアが自動的にそれを認識し、シャッターを切る機能です。これを使えば手を伸ばした時にシャッターボタンを頑張って押す必要がなくなりますし、笑顔や変顔の写真が撮りやすくなります。
しかし、Pixel 3はインカメラがかなり広角で手をそこまで伸ばさなくても大丈夫なはずですし、何より笑顔の写真だけが欲しいかと言われるとそうではない人が多いと思います。セルフタイマーで十分じゃないかなと私は感じます。
(オマケ)写真のクラウドストレージが無制限
これはカメラ機能ではないのですが、Pixel 3は、写真のクラウドストレージが無制限という特典がつきます。
Pixel 3で撮影された画像は、いくら無圧縮でGoogle Photoにあげても大丈夫だということになります。
近頃のスマートフォンは高解像度化していますし、連写、Gifなど画像ファイルが重いものもたくさん増えています。それに、Pixel 3シリーズはMicroSDに非対応で、外部にファイルを保存しておくことも難しいです。写真だけになりますが、クラウド無制限化は写真で容量が逼迫されている人にとっては結構嬉しいことではないでしょうか。
以上がPixel 3に搭載されるカメラ機能になります。
どれもAIを利用したGoogleらしい機能だと感じます。実物をみていないのでまだ判断しかねますが、あのGoogleだからうまくできているだろうという期待をしています。
※この画像はPixelではありません。
これらの機能はデュアルレンズを利用して、より多くの画像情報を得てからソフトウェア的な処理をした方が良いのは確かですが、GoogleのPixel 3はシングルレンズでも同じようなことはできるということを示してきました。これからはソフトウェアの部分が各社ブラッシュアップして、より高品質な写真が撮れるよう願っています。
Google Pixel 3はプレオーダーの受付中、日本ではドコモとソフトバンクから、そして公式サイトであるPlay Storeから11月に発売予定です。価格はPixel 3 64GBが95000円、128GBが107000円、そしてPixel 3 XL 64Gbが119000円、128GBが131000円となっています。
Pixel 3 / Pixel 3 XLのその他のスペックはこちらから
Source: Google
Androidのリファレンス機でありながら(いつもどおり)SD非対応、
iPhone的なストレージ商法するのかと思いきや最大128GBな煮え切らなさ。
煮え切らないのにたかだか64GBのストレージ増設に12,000円取るケチ臭さ。
全体的に何も足さない、何も引かない的な構成で
割と正統派の「リファレンス機」だったNexusに比べて
現在のスマホでマストな機能と言って過言ではないカメラにおいて
世界のてっぺん近くを目指す、Androidの旗艦の一つという趣のPixel3で
この煮え切らなさとケチ臭さはなんか非常に残念です。