アメリカの裁判所は13日、Microsoftと米国防省の契約遂行を一時停止する命令を出しました。
米Amazonは今年1月、裁判所に対してMicrosoftと米国防省の契約履行を一時停止するよう求める申し立てを行っていました。今回の裁判所の命令は、米Amazonの主張を認めたものとなります。
問題の経緯
米国防省はクラウドサービス、人工知能処理、機械学習といったITサービスの基盤クラウドを発注。発注先として候補に挙がっていたのが「Microsoft」「Amazon Web Services(AWS)」「Oracle」「IBM」です。今回の発注は契約金額が100億ドル(約1.1挑円)の超高額案件として、多くのニュースメディアにて高い注目を浴びていました。
昨年10月、米国防省は発注先をMicrosoftに決定。このニュースは「クラウドサービスで圧倒的な存在感を放っていたAWSが失注した」と大きな話題になりました。米Amazonは「ドナルド・トランプ大統領はAmazonのCEOジェフ・ベゾス氏に対して偏見をもっている。今回の決定には不公平なプロセスがあった。」と主張しています。
Amazonは、Microsoftと米国防省の契約遂行を停止し、かつAmazonが提出した依頼を再検討するよう依頼した申し立てを裁判所に提出しました。
一方、Amazonの申し立てに対してアメリカ国防省は「(発注先の)選択は偏りなく行った。今回の決定は自由かつ公平に行われたものである。」と発表しています。
Amazonが抗議を行っている背景
なぜここまで必死にAmazonは抗議しているのでしょうか。ポイントは「トランプ大統領とジェフ・ベゾス氏の関係」と「Microsftのクラウドサービス”Azure”の急成長」です。
トランプ大統領とワシントン・ポストの関係は最悪レベル
Amazonの創業者であるジェフ・ベゾス氏は2018年、アメリカの日刊紙「ワシントン・ポスト」を買収し、同紙のオーナーとなりました。
実はこのワシントン・ポストはトランプ大統領に批判的なメディアとして有名です。これまでにもトランプ大統領はワシントン・ポストと舌戦を繰り広げており、今回の失注もトランプ大統領の影響力が行使されたとAmazonは疑っています。
Microsoft Azureの急成長
Microsoftはサトヤ・ナデラCEOの元で全部門が絶好調。クラウドサービス「Azure」は前年比+50%以上の急成長が続いており、世界首位のAmazonのクラウド「AWS」を猛追しています。
世界シェア2位のAzureはAWSの圧倒的地位を脅かしており、Amazonが勝敗を分ける分水嶺になるかもしれない今回の失注に神経を尖らせるのは確実です。
今後は訴訟が本格化する見通し
裁判所は「あくまで今回の措置は予備的なもの」としており、今後の裁判で差し止めが不当であると判断された場合に備えて、Amazonに4,200万ドル(約46億円)を収めるよう求めています。
ちなみに、トランプ大統領は自身のTwitter上にて司法への不満をたびたびツイートしています。そしてついに14日、司法長官が「刑事事件についてツイートするのを辞めたほうが良い」とコメントを発表するなど、トランプ大統領を批判しています。
Microsftと米国防省の契約に関する裁判は今後本格的に始まりそうです。しかし今後の判決がどうなるかは、現時点では不透明です。
Source:AndroidCentral
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