3/29に正式発表となるXiaomiの新型Mi MIXシリーズにシリーズ。
同社の人気フラッグシップシリーズが2年ぶりに復活すると話題になっていますが、なんとその新型Mi MIXはスマートフォンとしては世界初の液体レンズ(リキッドレンズ)を搭載することがわかりました。
液体レンズって何?
液体レンズとはその名の通り液体を使ったカメラレンズのこと。
通常カメラレンズはガラスや蛍石などの透明度の高い固体を利用して光を屈折させます。しかし、一枚のレンズでは色収差、コマ収差といった収差が発生してしまうため、通常のレンズは複数枚のレンズを適切な間隔で配置して利用されます。
液体レンズはガラスなどの代わりに水、油などの液体を用いて光を屈折させるレンズです。フィルムを介して屈折率の違う2種類の液体を封入したものを利用します。
固体と違って流動的であるため、液体に電圧をかけることで界面の形状を変化させ、自由自在に光を屈折させます。
液体レンズの仕組みは人間の目と非常に似ています。人間の目は筋肉を使って水晶体の形状を変化させることでピントを合わせています。
ただ、人間の目は曲面の網膜である一方で、通常のカメラのCMOSセンサーはフラットであることには注意が必要です。
スマートフォンなどの小型機器と相性がいい液体レンズ
通常、液体レンズは2種類の液体を使うため、複数枚のレンズが必要な通常のレンズと比べて薄型化が可能であり、スマートフォンとの相性がいいです。
また、曲面の形状を工夫することで1つのレンズで焦点距離・ピントを変更可能。薄型でありながら望遠レンズやマクロレンズなどの役割を果たすことも可能です。
そのうえ、従来は光学ユニットを物理的に動かすことで行っていたズームやピント合わせが電圧を与えるだけとなるため、ズームやピント合わせが爆速となります。
精度が大きな課題である技術
こう見ると液体レンズには非の打ち所がないように見えますが、もちろん欠点もあります。
液体レンズの最大の課題は精度です。
先述の通り、カメラのCMOSセンサーは平面である以上(曲面センサーも開発されていますがここでは割愛します。)レンズはかんたんなかんたんに実現できる球面ではなく精度の高い非球面である必要があります。
通常の固体のレンズであれば職人による研磨で高精度の非球面レンズが作れますが、液体レンズはその性質上重力や加速によるブレの影響や、気温や圧力などの環境変化による屈折率の変化の影響を受けやすく、精度の維持に課題があります。
Xiaomi Mi MIXシリーズの液体レンズの特徴は?
Xiaomiの新型Mi MIXの液体レンズに関しては以下の記述が見られます。
- フィルムに包まれた液体を高精度に変化させることで迅速でスムーズなフォーカスを実現。
- ガラス以上の透過率、低分散率をどんな厳しい環境でも維持可能であり、固体レンズ以上のパフォーマンスを発揮できる
- 一つのレンズでマクロ、望遠の2種類の役割を果たせる
- 一般的なマクロレンズ、望遠レンズよりも小型である
小型・薄型、高速性や画角、ピントレンジなど液体レンズのメリットがふんだんに盛り込まれています。それだけでなく、課題の一つである環境に対しても言及されていることがわかります。
実際の完成度は触ってみないことにはわかりません。しかし、世界で初めて液体レンズを搭載し、実用化したスマートフォンである新型Mi MIXは技術的にも非常に注目すべき端末だといえるでしょう。
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