本日、Appleから新型のiPhoneである、iPhone XS, iPhone XS Max, iPhone XRが発表されました。
筆者はこの発表を見て様々な思うところがありましたので、少し語らせてください。
目次
新型のiPhoneの目玉って何?
筆者が朝起床し、各メディアにある新型iPhoneに関する発表情報を目にした時、まず思い浮かんだ感想は「結局目玉はなんなんだ。」です。
今回発表された3機種で特徴的なのは、3機種ともXがついており、iPhone Xのデザインをベースに作られたモデルというところでしょうか。
細かいスペックの変化を見ていきます。
XSとXS MaxはXと比較するのが妥当だと思いますのでそこで比較します。
まずはプロセッサが7nmプロセスを用いたA12 Bionicになったこと、DSDS対応したこと(ただし日本は非対応)、防水が強くなったこと、バッテリーがちょっと改善したこと、ゴールドモデルが出たことぐらいでしょうか。
一方でXRは8, 8 Plusと比較してみます。
まずはプロセッサが7nmプロセスを用いたA12 Bionicになったこと、ディスプレイが大きく綺麗になったこと、Touch IDからFace IDになったこと、ホームボタンは廃止され、カラーバリエーションが増えたぐらいでしょうか。しかし、カメラは大きな変化はないし、3D Touchは廃止されました。
こうして見てみると、どれも「すげぇ!」と思わせるようなことはなかったなといった印象です。全て順当なスペックアップです。
本来sがつくモデルは大きく変化することがないのが定番ですが、今回は一層特に変化なかったなという感想です。ここで思うわけです。「iPhoneはイノベーターとしての役割を失った」と。
今までのiPhoneを振り返る
ここで過去のiPhoneを振り返って見て、どんなイノベーションがあったかをみてみましょう。筆者がスマホを触り始めたiPhone 5から見ていきます。
iPhone 5 (2012年)
iPhone 5といえばなんといってもデザインの大幅更新とLTE対応です。
今までのiPhone4、4Sでは高級感のあるガラスボディでしたが、iPhone 5はアルミニウムボディを採用し、さらに薄型、軽量化。それに縦に長くなり、板感が出ました。高級感は4Sの方があるという意見が多いですが、5のデザインの時代の最先端感に心打たれました。
さらにはiPhone初のLTE対応で、通信速度が大幅に向上しました。
当時iPhone 4を使用していた筆者は、iPhone 5を使用していた姉を羨ましく思っていました。
iPhone 5S (2013年)
iPhone 5Sのイノベーションは指紋認証の導入、フラットデザインを採用したiOS7の搭載、ゴールドモデルの追加、そしてauのプラチナバンド対応でしょう。
当時はまだ珍しかった指紋認証を高精度で使いものいなる状態で投下し、ロック解除やアプリのダウンロードが楽になりました。
また、フラットデザインを採用したiOS7は軽量で最高にクールでした。また、初めてコントロールセンターを採用したのもこのiOSでした。Androidにもその機能はあったのですが、フラットデザインやコントロールセンターを熟成させたのはiOS 7といっても過言ではないでしょう。
さらに、当時は珍しかったゴールド(当時はシャンパンゴールドという名前でした。)モデルの投入、そしてauのプラチナバンド対応や、世界的にも対応バンドを増やしてモデルを統一しようという流れになったのもiPhone 5Sのあたりからでした。
私にとっての最高のiPhoneは、iPhone 5S + iOS 7のこの時代でした。とても懐かしいものです。iPhone 5C?知らない子ですね。
iPhone 6 (2014年)
翌年発表されたiPhone 6に関しては、実はあまりいい思い出がありません。
特徴としては画面サイズのアップ(4インチから4.7インチ)とPlusモデル(5.5インチ)追加、さらなる薄型化、そして端のカーブしたディスプレイでしょうか。
当時Androidでも大画面薄型モデルはありましたが、iPhone 6の登場で、大画面薄型モデル、そして丸いディスプレイがトレンドになったような印象がありました。
また、悪名高いアンテナ用のDラインや、カメラの出っ張りができたのもこのiPhone 6からです。
iPhone 6の登場以降、様々なスマートフォンでカメラが出っ張っているものが出始めました。そういった意味でのイノベーターにもなっていたのでしょう。
iPhone 6S (2015年)
6の次は、SモデルのiPhone 6Sの登場です。このモデルは、3D Touchの登場がイノベーティブだったと思います。
3D Touchはその後様々なAndroid端末でもにたような機能を搭載する機種が増えました。結局最近ではあって当たり前といったような機能にはなりませんでしたが、カーソル移動やアプリ移動など使いやすい場面も多い上に、Apple Watchへの技術応用などもあり、革新的な技術であったと思います。
他にもローズゴールドモデル追加がありましたが、Android陣営に大きな影響はなかったですね。
iPhone SE (2016年)
番外編になりますが、iPhone SEという機種もありましたね。
iPhone 5Sと同じ筐体(正確にはダイヤモンドエッジ加工が省略されていますが)で、中身はiPhone 6S相当の機種です。Appleの、5,5Sの液晶部品の在庫処理とか同じ筐体で設計しなくていいから楽とかそういった印象もありましたが、それでもかなり安く販売されましたので、安さを売りにしていたAndroidは結構こいつに苦戦したのではないかという気がします。
また、小型モデルの需要確認用という意味もあったのだと思います。革新的な技術はなかったですが、小型端末の需要発掘という役割があったはずです。
iPhone 7 (2016年)
時代も進み、iPhone 7になります。
iPhone 7はなんといってもPlusモデルのデュアルレンズと防水、そしてイヤホンジャック廃止でしょう。
当時はまだ珍しく、カメラを2つ搭載し、望遠撮影や、背景ボケを作るポートレートモードにも対応しました。それだけでなく、距離測定もできるようになるので、将来的にVR、ARに応用できるようになりました。これは本当にイノベーティブだったと思います。
他に大きかったのは防水対応です。防水は日本の機種では当たり前でしたが、Appleが採用するようになって海外企業の機種も防水、防塵防滴機能をつけるのが当たり前になりました。
イヤホンジャック廃止に関してはユーザーは歓迎しずらかったですが、Appleがやって行こう様々な企業もイヤホンジャックを抜いたりしました。むしろ「我が社のはイヤホンジャックあります!」みたいな宣伝もありましたが、Appleが他社に与えた影響はそれほど大きかったのでしょう。
他にはDラインの廃止、ジェットブラックの採用などもありました。
iPhone 8 (2017年)
iPhone 8あたりから革新的な機能があまり感じられなくなってきます。
iPhone 8は無線充電対応ぐらいしか印象にありません。他には無線充電に対応するためにiPhone4S以来、久しぶりにガラス筐体を採用したぐらいでしょうか。
無線充電は結構前からある技術で、Android陣営でも採用機種が多くありました。なので、iPhone 8自体はあまり目玉となることがなかったと記憶しています。
iPhone X (2017年)
ただ、同時期にiPhone Xという異端児が発表されました。iPhone Xはいい意味でも悪い意味でもイノベーティブでした。
当時はEssential Phoneぐらいしかなく、まだ珍しいノッチ、そしてFace ID、有機EL、そしてデュアルレンズの両方に光学式手ぶれ補正が採用されました。また、Appleとしては初のホームボタンが廃止された機種でもあります。
特にノッチの搭載は、その後の様々なスマートフォンに影響を与えたように思います。iPhone X以降は似たようなデザインの機種が増えました。そしてノッチ関連の技術としてはFace IDが今までの顔認証よりも革新的でした。
そして何より、今回発表された機種は全てiPhone Xをベースにした機種になりました。それほどiPhone Xの影響は大きいのでしょう。
iPhoneはイノベーターとしての役割を失った
今までのiPhoneは上記のように、どの機種もそこそこ印象が残っていて、それぞれにイノベーションがあったように思います。
一方で、今回発表されたiPhoneには、前の項目で書いた通り特に「これだ!」という目玉もなく、全てが順当なスペックアップでした。なんらかの新技術も搭載されず、とうとう何もなくなったんだなといった印象が強かったです。この感覚は、去年のiPhone 8の時にも少しは感じられていたものの、iPhone Xの発表でかき消されていただけでした。今回はかき消される要素がなかったため「なんもねぇな」という感覚が表面化したのだと思います。
これはやはりスマートフォンに搭載する技術がほぼ成熟し、スペック的なところでも頭打ちになっていることが原因なのかもしれません。しかし、それでもAndroidはトリプルカメラ、スライド式インカメラ、ディスプレイ内指紋認証、そして5G(これはまだまだ検証段階ですが)等、時代の最先端で挑戦的な機能を搭載した機種が出ています。
Appleはこれらの技術のクオリティが社内の基準を満たしておらず、まだ搭載するにたらないと感じているだけなのかもしれません。ただ、Appleは常に時代の最先端であって、iPhoneはいつでもクールなイノベーターであっていてほしいという私の願いがあるからでしょうか、今回のiPhoneの発表には少しがっかりしてしまいました。
何もAppleに5眼カメラを搭載しろとかスライド式のインカメラを搭載しろと言いたいわけではありません。ただ、来年度の発表では何か革新的なものを発表してくれないかと期待するばかりです。
皆さんは今回のiPhoneの発表、どう思いましたでしょうか?ぜひコメント欄で教えてください。
いつもお世話になっております。
本記事の内容につきまして、まったく同じ意見です。
新型iPhoneはⅩから順当なスペックアップを果たし、Appleらしい高性能かつ安定した素晴らしい端末に仕上がっているのだと思います。個人的には廉価モデルのⅩRも気になっております。
ですが、それだけと言ってしまえば、それだけ。
技術が成熟しつつあるとは言っても、新進気鋭のスマホメーカー各社は賛否両論ありながらも五眼レンズへトライしてみたり、液冷システムを導入してゲームユース特化の端末を発表してみたり、はたまたSD845という現行もっとも高性能なCPUを搭載しながら3万円台というコスパモンスターを市場に打ち出すなどして、私たちユーザーを今も驚かせてくれているように思います。
HuaweiやXiaomiなどの有名メーカーだけを見ても、わずか数か月単位で次々と新しいデバイスを発表し、性能とコストパフォーマンスの向上を日々アピールしていますよね。そんな群雄割拠の時代にありながら、Appleは相変わらず同じようなものを同じような値段で売っている。そんな印象を覚えました。
久方ぶりの新作発表の場で、ついに目新しいものを何一つ用意できなくなったというのは、やはり王者の衰えを感じずにはいられません。Appleはもはや革新の担い手ではなく、単なる一流メーカーの一つに過ぎなくなってしまったのだな、と。