つい先日お祭り騒ぎになっていたiPhone 11シリーズの発表、発売から約1週間立ちました。
筆者は発売日当日にiPhone 11を購入し、メイン機として毎日使っていました。カメラが趣味で高校生の時から一眼カメラを嗜んでいたの筆者ですが、週末カメラマン目線でiPhone 11のカメラ性能がどうなのか、実際の作例とともにレビューしていこうと思います!
iPhone 11シリーズのカメラ機能に関してこの記事で詳しく解説しています。先にこちらで予習しておくことを推奨します。
目次
良いところ① 超広角カメラが素晴らしい
iPhone 11シリーズより搭載された超広角カメラのダイナミックさがとにかく素晴らしいです!
この記事に書いたとおり、広い範囲をすべて写し取れるし自撮りも問題なくこなすことができます。
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超広角カメラで撮影した写真です。見てくださいこの広さ!10mはある高い天井ですが、同じフロアと天井のステンドガラスが一緒に写っています。旅行先で自分が感じた風景を余すことなくすべて写し取るのに最高ですね。
また、暗い館内ながら発色が素晴らしく、十分作品になるレベルです。
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超広角カメラは広角カメラに比べてスペックが低めですが、夕焼けでも白飛びすることなく十分なダイナミックレンジが確保されています。
右下のアスファルトで偽色が出てしまっているのは残念ですが、ちょっときついインスタ映えするような編集をしても、SNS程度であれば鑑賞に耐えられます。
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光が均一で十分確保されているシーンでは素晴らしい写真が撮影できます。超広角は望遠側とは違ってトリミングでなんとかすることができないため、撮影の幅が広がると言えます。
ともかく、新たに搭載された超広角カメラはiPhone 11シリーズの強みであると言えるでしょう。
良いところ② ナイトモードが最高すぎる
iPhone 11ではついにナイトモードが搭載されました。これにより、夜の写真が格段にきれいに映るようになります。
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夜の東京駅の写真ですが、肉眼以上にきらびやかに写すことができます。手前の木々や奥のビル群の質感がしっかり写せていますね。
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博物館内の本当に暗い場所でも僅かな蛍光灯の光があればこれだけ明るく写ります。暗すぎる状況ではどうしてもノイズが出てしまいますが、それでも今まで撮影できなかった明るい写真が撮れるようになるのは革新的です。
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微妙に暗いシーンでもナイトモードは活躍します。少し暗いシーンではナイトモードオフなのですが、手動でオンにすることができます。あとはしっかり固定して撮影すれば普通に撮影した写真よりもノイズが少ない写真に仕上がります。
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また、三脚を併用すればナイトモードの撮影時間が自動的に延長され、よりきれいな写真に仕上げることができます。ミニ三脚とiPhone 11で一眼レフ顔負けの夜景写真が撮影できるようになったのは本当に素晴らしいです!(※1枚目の写真の撮影スポットは三脚禁止です。ルールとマナーを守って撮影を楽しみましょう。)
良いところ③ スマートHDRの威力が強すぎる
iPhone 11からは従来のHDRよりも強力なスマートHDRが利用できます。これにより、白飛び、黒つぶれのない美しい写真が撮影できるようになります。
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両側をビルに囲われた状況での夕焼け写真です。こういうシーンでは空が白飛びしてしまうか建物(特に右側の暗い方)が黒つぶれすることが多いですが、iPhone 11のスマートHDRでそれらを回避することができます。右側の木の質感が保たれており、スマートHDRの威力がすごいことが確認できますね。
スマートHDRでどんなシーンでも見たままに美しい写真が撮影できるようになったのはiPhone 11の素晴らしいところです。
良いところ④ ポートレートモードが何に対しても使えるようになった
iPhone 11の前の機種であるiPhone XRではカメラが一つしか搭載されていないため、ポートレートモードが「人物に対してのみ」使えるという制限がありました。しかし、iPhone 11からはデュアルカメラになったため、何に対してもポートレートモードが使えるようになりました。
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山羊をポートレートモードで撮影した一枚ですが、体が奥に行くにつれてなだらかにボケていることがわかります。A13 Bionic+デュアルカメラでボケの処理もうまくでき、小さなiPhoneでもボケを生かした写真が撮影できます。
人物以外にもポートレートモードが使えるようになったことで、飯テロ写真もはかどりますね。
超広角カメラの搭載と一緒でとにかく撮影の幅が広がったなというように感じます。
【追記】スローモーションも最高画質!
iPhone 11のスローモーションカメラでスズメガのホバリングを捉えることができました。花に挿入する管もしっかり解像できており、ビデオ撮影でも活躍間違いなしでしょう。
iPhone 11のスローモーションカメラでスズメガ(ホウジャク)のホバリングを捉えました!
管の動きまで鮮明に描写できており、さすがiPhoneという印象です。 pic.twitter.com/1ylexnha0K— テレクトリスト (@telektlist) September 22, 2019
悪いところ① 超広角カメラは光学式手ブレ補正非搭載
iPhone 11に限らず、すべてのiPhone 11シリーズは超広角カメラに光学式手ブレ補正が搭載されていません。
超広角の上たった12MPなので普通のシーンであれば手ブレはあまり気にならないのですが、問題はiPhone 11の新機能、ナイトモードです。
ナイトモードは光学式手ブレ補正を利用して複数枚の写真を瞬時に撮影し、合成することで暗い場面でも明るい写真を生成できる機能ですが、光学式手ブレ補正がそもそもない超広角カメラはナイトモードに非対応になります。
超広角カメラで撮影。標準カメラよりも暗い。(クリックで拡大)
せっかく素晴らしい超広角カメラでも、夜は画質が残念になるのはもったいないですね。ひょっとしたらiPhone 12では超広角カメラも光学式手ブレ補正が搭載されるのかもしれません。
悪いところ② 超広角カメラに歪みを感じる
また、超広角カメラは歪みがあります。
先程の画像を見ていただければわかると思いますが、本来直線である枠の部分がかなり歪んでいますね。
ただこの歪み、良いところ①の写真のような、自然や丸みのあるものを対象としていればあまり気になりません。直線の多い都市部の写真では気をつけたほうが良いかもしれません。
ソフトウェアが素晴らしいAppleなら歪み補正も手を抜かずにしてほしかったところではあります。歪みについては今後のソフトウェアアップデートで対応があるのかもしれません。
悪いところ③ やっぱり望遠レンズが欲しかった
iPhone 11には望遠レンズが搭載されていません。そのため、デジタルズームを利用してズームすると当然画質が劣化します。
デジタルズーム約3倍(昼間、直線的)
昼間のように光量が豊富なシーンで、建物といった直線的なものを撮影する分にはあればある程度のデジタルズームは問題ありません。
暗いシーンはノイズが目立つ(クリックで拡大)
しかし、暗いところではやはりどうしてもデジタルズームによる画質劣化が否めません。望遠という点では当然ではありますが、光学式手ブレ補正搭載の52mmカメラがあるiPhone 11 Proが有利です。価格差が許容できるのであればProモデルを購入することをおすすめします。
ちなみにiPhone 11 Proの望遠レンズはどうやら光学式手ブレ補正が搭載されているにも関わらず、ナイトモード非対応ですのでご注意を。(望遠カメラでナイトモードをオンにすると広角カメラのデジタルズームになる。)
悪いところ④ ポートレートモードの処理がまだ少し甘い
iPhone 11には52mm標準レンズが搭載されていないからか、ポートレートモードのボケの処理がまだ甘いと感じる部分があります。
例えばこの写真。髪の毛はそこそこ上手く処理できていますが、体の右下部分の背景が抜き取られていません。
※以下昆虫(蝶)の写真が登場します。苦手な人はスクロールしてください。
ガヤガヤと騒がしい背景になるとこれまた抜き取りが甘くなります。背景のボケの質感(玉ボケなど)は素晴らしいですが、草の隙間、そして何より蝶の輪郭は何度撮影してもうまく処理してくれませんでした。iPhone 11 Proの方はうまく処理できているのかもしれませんが、iPhone 11の方は難しいシーンがあると言えるでしょう。
悪いところ⑤ 三脚の対応が甘い
iPhone 11はナイトモードで三脚を自動検知し、露光時間を伸ばす仕組みがありますが、三脚への対応はそれだけとなっています。
例えば長時間露光でレーザービーム(車のヘッドライトの軌跡を写す)のを試みようとすると、画像処理の関係かどうしても光が直線になりません。それに線の形が太く、下品な写真に仕上がってしまっています。
また、ナイトモード非対応の超広角カメラはそもそも三脚の長時間露光ができません。光学式手ブレ補正が搭載されていない超広角カメラでも、三脚による長時間露光に対応してくれるととても嬉しいです。アップデートで対応してくれないかなぁ...
注意点 バッテリーに気をつけよう
作例撮影のために一日中カメラを起動して撮影していたところ、半日でバッテリーを使い切ってしまいました。いくらバッテリーが改善されたiPhoneでもカメラの連続動作ですぐにバッテリーが減ってしまいます。
進化したカメラを丸一日楽しむのならばモバイルバッテリーを忘れないようにするといいでしょう。
まとめ 少し惜しいほぼ完璧なカメラ
結果として悪いところのほうが良いところより多くなってしまいましたが、これは「好きだから悪いところも見えてくる」現象であり、総合的には大満足です。
超広角レンズが搭載され、ナイトモード、ポートレートモードなど様々な機能が盛り込まれたiPhone 11。iPhone 11 Proと比べて標準レンズがない、手ブレ補正が弱いと言った弱点がありますが、それでも広角カメラではほぼ最高峰のカメラを搭載していることに変わりはありません。
少し残念なのが超広角カメラ。超広角カメラを搭載したのは素晴らしいことですが、光学式手ブレ補正、ナイトモードがない上、歪みがあり、まだまだ発展途上だなというように感じます。これらの点が改善されればかなり満足度の高いカメラになるのですが...次期iPhoneでは改善されていることを望みます。
8万円から購入できるコスパの良いiPhone 11、カメラもしっかり良いものを搭載していておすすめできるスマホです。
こんな人におすすめ!
- とにかくコスパが良いiPhoneがほしいひと
- 超広角カメラを体験してみたいひと
- 一眼カメラのサブ機としてなど、標準カメラがなくても困らないひと
こんな人は検討し直したほうが良いかも...
- いくらでも出せるから最高品質のものが欲しい人
- カメラ入門としての購入
- 本気で撮影したい人
ProとMAX版はどうなんだろうねぇ
気になっちゃうわね