9月19日、ドイツのミュンヘンでHuaweiのMate 30 / Mate 30 Proが発表されましたが、このモンスター性能のスマートフォンにはひとつ大きすぎる欠点があります。言うまでもなく、Googleの便利なアプリやAPIをまとめたGoogleモバイルサービス(GMS)が使えないことです。
発売前には、中華ROMスマホのようにユーザー自身でインストールすればいいと思われていましたが、ことはそう簡単にはいかないようです。
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Mate 30の欧州での発売は白紙
発表イベントの後、HuaweiのCEOであるRichard Yu氏は、Mate 30がGMSなしで発売されることについて「サードパーティのアプリや、アプリをダウンロードできる場所はたくさんある」「アジアや中東の顧客は引き続き購入すると信じている」と語りました。
アジア最大の市場である中国では、もともと中国政府がGoogleアプリを規制しています。売上に影響が無いのは当然かもしれません。
すでにGSMArenaはじめ複数のメディアが報道していることですが、HuaweiはMate 30シリーズに関して、ドイツで発表したにもかかわらず、欧州での発売を延期したといわれています。現在、欧州での発売時期は未定です。
10億ドルでアプリ開発者を集める
Yu氏はGoogle モバイル サービスが使えない代替として、Huaweiモバイルサービス(HMS)に力を入れていく方針を示しています。アプリ開発者に対しては、10億ドルのインセンティブが用意されます。
Yu氏は記者に対し、Mate 30でHMSのAppGalleryが使用できることや、AppGalleryに5億7千万人のアクティブユーザーが存在することをアピール。「世界の開発者にHMSを使用するように伝えたい」と語りました。
Huaweiが推進するAppGalleryでは、開発者は収益の85%を受け取ることができます。これはGoogle PlayストアやアップルのApp Storeに対して、半分の手数料になります。
10億ドルの用途はアプリ開発者のインセンティブとされていますが、10億ドルを使い切ったあとも、開発者が引き続き85%を受け取れるかは不透明です。
ユーザーにとってのデメリット
AppGalleryには現在約4万5000のアプリがありますが、Google Playストアの約270万のアプリとは比較になりません。5億7千万人のアクティブユーザーに対して、Google Playストアのユーザーは優に20億人を超えます。
いまのことろ、AppGalleryとGoogle Playストアには規模の上で大きな差があるといえるでしょう。
ユーザーにとっては、インストールできるアプリが少ないということになりますが、Googleのアプリ以外であれば(セキュリティを度外視すれば)サイドローディングを使うという手もあります。
サイドローディングとは、アプリケーションストアを通じてアプリの配布や管理を行っているシステムのなかで、正規のアプリケーションストアを経由せずにアプリを入手し、インストールを行うことです。マルウェアの混入など、リスクがあります。
それでもGoogleアプリは使えない
Alex Barredo氏は自身のTwitterで、Google PlayやYouTubeをサイドローディングした結果を報告しています。結論からいうと、アプリはGoogle Play開発者サービスがないため、タップしても開きません。Googleマップなど、ほかのGoogle関連アプリもほぼ全滅でしょう。
https://twitter.com/somospostpc/status/1174687362993086465
ブートローダーをアンロックするという手段が検討されたが……
前述のように、GoogleアプリをサイドローディングするだけではMate 30でアプリは起動しません。Googleアプリの起動に必要なGoogle Play開発者サービスをサイドローディングするには、Mate 30のブートローダーをアンロックする必要があります。
ブートアンロックは、スマートフォンのRoot化などにも必要な作業です。ブートローダーの役割はOSを読み込み起動することで、ブートローダーをアンロックすれば、ユーザーが用意した任意のカスタムROMを起動することも可能になります。
ブートアンロックができれば、ユーザーはスマートフォンを自由にできますが、その性質上、当然メーカーの保証対象外となります。大半のメーカーがそうであるように、Huaweiもこれまでブートアンロックを認めてきませんでした。
ところが先日、Androidauthorityなど一部のメディアが、Huaweiが方針を転換しブートアンロックを認める方向で検討中と報じました。
報道の中で、Yu氏は次のように語っています。
私達はブートローダーのアンロックを制限してきました。もちろん消費者のため、よりセキュリティを保証したかったからです。しかし今後は消費者がより多くのカスタマイズを行えるよう、より多くの自由な余地を与えようと思っています。
消費者の不満解消のため、最後の手段というところでしょうか。かなりコアな知識が必要とはいえ、Mate 30にGoogleアプリをインストールする道が開けたかに思われました。
Huaweiはブートアンロックの計画がないことを発表
9月22日、前述の記事を公開したAndroidauthorityに対し、Huaweiはブートアンロックを許可する「計画はない」と通達しました。
HuaweiはAndroidauthorityに対し、Yu氏のコメントの意味を明確にするために連絡をとったとしており、ブートローダーに関してそれ以上のコメントを拒否しています。
いずれにせよ、これでブートローダーのアンロックに必要な解除コードを「正式な方法」で入手する手段は途絶えたといっていいでしょう。
抜け道を使ってGoogleアプリをインストールしても、アカウントがBANされる可能性も
PCでAndroid動かすBlueStacksを動かしたら半日でGoogleアカウントBANされて復活不能になったという話。因果関係がはっきりしないけど注意した方がいいかもね。 https://t.co/cMzJEH0VMo
— moyashi (@hitoriblog) June 20, 2019
ブロガーのmoyashi氏(@hitoriblog)は、自身の体験からGoogleの認証を受けていないAndroidスマートフォンへの安易なGoogleアプリのインストールは、アカウント停止の対象となる可能性があると注意を呼びかけています。
ユーザーに残された道は
Google Play開発者サービスがインストールされていない場合、多くのアプリに影響が出ます。かといっていまのところ、14万円のMate 30 ProにGoogle関連アプリをインストールする方法はありません。
Mate 30ユーザーに残された道は、素直にAppGalleryで公開されたアプリを使うことであり、HuaweiがGoogleよりも便利なアプリを開発するのを待つことでしょう。
とはいえ一度Mate 30が販売されてしまえば、Huaweiの顧客の中にはYouTubeが見られないことを知らずにMate 30を買う人も、大勢いることでしょう。アフターサービスの混乱を考えれば、欧州での販売見送りは妥当な判断といえるかもしれません。
Source:gsmarena, gizmochina, androidauthority
Googleアプリ動きましたよ。
下記リンクとその中の動画参照で。
https://www.proandroid.com/como-instalar-servicios-google-huawei-mate-30/