「目の前にあるスマホから、目の前にあるパソコンにファイルを転送したいだけなのに、USBで繋いだり、クラウドストレージを経由したり・・・。もっと簡単なやり方は無いのか!?」
Apple製品にはAirDropという非常に便利な機能がありますが、Androidスマホや、Windowsパソコンには類似の機能は含まれていません。Androidスマホ同士なら、Android 11の新機能であるNearby Shareで代用可能ですが、少なくとも今は未発表で、Windowsのサポートも不明です。
AirDropほどの便利さは無いにしても、最低限快適なファイル転送の方法は無いものでしょうか。
この記事では、つい最近、私がこのような事態に直面したときに見つけた「現時点では最適な解決策」について、ご紹介します。なお、今回は私の環境にあわせ、XiaomiスマホからWindowsパソコンへの転送というケースに特化した内容になってしましましたが、予めご了承下さい。
目次
今回使う「FTP」について
まず初めに、今回利用する「FTP」という機能について簡単に説明します。(機能、というと語弊があるかも)
FTPとは、File Transfer Protocol(ファイル転送プロトコル)の略で、そのシンプルな名前の通り50年近く前に開発されてから現在まで、広く使われている一般的なファイル転送用のプロトコルです。誰でも聞き覚えのあるHTTP(WEB通信で使われるプロトコル)などと並び、TCP/IPの最も基本的な要素の一つです。(Wikipedia参照)
WEBサイトを配信するサーバーがHTTPサーバーと呼ばれるように、今回は手元にあるXiaomiのスマホを「FTPサーバー」として利用します。Xiaomiのスマホには、自らをFTPサーバーとして運用する機能が標準搭載されているため、これを活用することで比較的簡単にファイルの転送が可能です。
手順①:送信元のスマホ・受け入れ先のパソコンを同じローカルネットワークに繋ぐ
FTPの規格の上では、FTPサーバーをインターネットに公開して世界中からアクセスできるようにすることも可能ですが、Xiaomiのソフトウェアが対応していない上、非常に危険な行為ですので、普通はスマホとパソコンを結ぶだけのローカルなネットワーク内にのみ公開します。(そもそも、手元でファイルを共有するだけの目的ならわざわざ世界に公開する必要はありません。)
自宅での作業であれば、固定回線の同じWi-Fiに接続すれば基本的にネットワークを共有できるでしょう。同一のネットワークであれば、スマホがWi-Fi、パソコンが有線接続でも問題ありません。
公共スペースではフリーWi-Fiを使う方法もありますが、同じ場所に居る他者からもアクセスが可能になってしまいますので、フリーWi-Fiは避けた方が賢明です。公共スペースでFTPを利用したい場合は、モバイルWi-Fiや、もう一台のスマホでWi-Fiスポットを作成することでも代用可能です。
とにかく、何かしらの方法で2つのデバイスを同じネットワークに接続しましょう。
手順②:Xiaomiスマホを転送可能な状態に設定する
まずは、Xiaomiのスマホをファイルの転送が可能な状態に設定します。言い換えれば、FTPサーバーのソフトウェアを起動するということですね。
Xiaomiスマホに標準搭載されているShareMeアプリ、及び標準ファイルマネージャーアプリの2つどちらでも設定が可能なようですので、どちらか片方を使えば問題ありません。
以下、スクリーンショットはXiaomi Mi 9、MIUI Global 11.0.9で解説を進めます。
Xiaomiの標準アプリの一つである、ShareMeアプリを起動します。かつてはMi Dropとも呼ばれていたアプリで、現在はXiaomiだけでなくOPPOやvivoなどのスマホとも相互にファイル共有が可能になっています。
ShareMeアプリの左端をスワイプし、ハンバーガーメニューから「パソコンに接続」を選択します。場合によっては、ここが「FTP」と書かれている場合もあるようです。
ポップアップで接続方法を聞かれます。ネットワーク内に自分しかいないような場合はわざわざパスワードを設定する必要もありませんが、会社のネットワークなどでは念の為パスワードを掛けたほうが良いのかもしれません。
適宜設定して「OK」で先へ進みましょう。
先の画面で「開始」をタップすると、このようにFTPアドレスが表示されます。画像の上の方でモザイクがかかっている場所は接続しているWi-FiのSSIDです。
パソコンからこのFTPアドレスへアクセスすることで、ファイルの受信が可能な状態になりました。画像の場合はftp://192.168.1.38:2121
になっています。
FTPアドレスのうち、コロン以前の192.168....
がスマホのローカルIPアドレス、コロン以下の2121
をポート番号と言いますが、このローカルIPアドレスについてはWi-Fiへの再接続などをしない限り基本的に固定です。ポート番号はFTPを停止・開始する度に別のものが割り当てられているものの、選択肢は少ないようです(Wikipedia参照)。
Xiaomi標準ファイルマネージャーから設定する場合
※注意:すでに先の項でShareMeアプリからの設定を済ませている場合、ここの手順は不要です。次の章へ進みましょう。
まずは、Xiaomi標準のファイルマネージャーアプリを起動します。
ファイルマネージャーアプリの左端をスワイプし、ハンバーガーメニューから「FTP」を選択します。場合によっては、ここが「パソコンに接続」と書かれている場合もあるようです。
次の画面で「起動」をタップすると、画像のようなポップアップが表示されます。
ネットワーク内に自分しかいないような場合はわざわざパスワードを設定する必要もありませんが、会社のネットワークなどでは念の為パスワードを掛けたほうが良いのかもしれません。
適宜設定して「OK」で先へ進みましょう。
すると、このようにFTPアドレスが表示されます。画像の上の方でモザイクがかかっている場所は接続しているWi-FiのSSIDです。
パソコンからこのFTPアドレスへアクセスすることで、ファイルの受信が可能な状態になりました。画像の場合はftp://192.168.1.38:60665
になっています。
FTPアドレスのうち、コロン以前の192.168....
がスマホのローカルIPアドレス、コロン以下の60665
をポート番号と言いますが、このローカルIPアドレスについてはWi-Fiへの再接続などをしない限り基本的に固定です。ポート番号はFTPを停止・開始する度に別のものが割り当てられているものの、選択肢は少ないようです(Wikipedia参照)。
手順②:WindowsパソコンでFTPアドレスに接続、ファイルを受け入れる
さて、スマホから送信する準備は整いました。ここからは簡単です。パソコンを開いてファイルを受け入れる作業に入ります。
先程のFTPアドレスを、普段パソコンで使っているファイルマネージャ(Windowsエクスプローラー等)のアドレスバーへ入力します。GoogleChromeなどのWEBブラウザからもアクセスすることが出来ます。
Macを使っている場合も、標準のFinderがFTPに対応しているようです。
Windowsエクスプローラーの場合、青い枠で囲ったアドレスバーにFTPアドレスを入力し、エンターキーで確定することでスマホのファイルへアクセスすることが出来るはずです。
ここで失敗した場合は、スマホとパソコンが同じネットワークに繋がっていないか、スマホでFTPサーバーを起動できていないかのどちらかが考えられます。
ここから先の手順は説明するまでもないですね。この画面で直接ファイルの編集等は出来ませんので、その場合はパソコン上の他の場所へ一度ファイルをコピーしてくる必要があります。
「Xiaomiスマホの標準機能を使ったWindowsパソコンとのファイル共有手順」はこれでおしまいです。お疲れさまでした!
作業が終わったら、スマホでFTPを停止しておきましょう。
Xiaomiは、他社スマホを利用しているユーザー向けにも、GooglePlayストアでShareMeアプリ・Miファイルマネージャーアプリをそれぞれ無料配布しています。
基本的にWi-Fiで何かしらのネットワーク機能が使えるスマホであれば、今回紹介したFTP機能も利用可能なはずです。(手元でも一度確認しています)
FTPサーバーの機能を持つアプリは多いですが、その中でも比較的信用できるXiaomiという企業が開発しているアプリですので、既にFTPを活用している皆さんも試してみてはいかがでしょうか。
(そんな面倒なことしなくてもGoogle Driveにアップすればお終いでは…?
せっかくAndroid使ってるし)