Appleは本日、特許に関して裁判中であったQualcommとの訴訟を全て取り下げ、半導体供給に関する契約を結ぶことを発表しました。AppleとQualcommはスマートフォンのモデムに関する特許において係争中でした。
始まりは2017年1月、AppleはQualcommに不当なライセンス料を請求されたとして、Qualcommを提訴しました。それに対し、QualcommはAppleの主張を否定し、むしろAppleがソースコード等の機密情報を盗み、Intelの技術者に提供したとし、特許侵害で逆提訴をしました。
両者の係争は泥沼状態となり、今まで続いていました。iPhoneのチップはQualcomm製のコンポーネントが減り、最後には4GチップがすべてIntel製になるなど、製品にも影響が出ていました。
そんな中、AppleとQualcommは急に和解を発表しました。
AppleとQualcommの間で行われていたすべての訴訟は取り下げられ、QualcommはAppleへチップなどの半導体製品を6年間提供する契約を結び、両者は協力へと方向転換することになります。
【追記】有名なアナリストのTimothy Arcuri氏によると、和解の際AppleからQualcommに支払われた和解金はなんと50億ドル(5600億円)にものぼると見込まれています。どれぐらいすごい値段かと言うと、これは、スカイツリーがおよそ8本立つ値段になっています。
目次
次世代iPhoneの5GモデムはQualcomm製になる?
両者の和解により、次世代iPhoneには多くのQualcomm製チップが搭載されることが見込まれます。何より期待できるのが5Gモデムです。
現在、5Gモデムを作れるのはQualcomm、Intel、Huawei、Samsung、MediaTek、UniSOCといった大きな半導体企業に限定されます。
この中で、SamsungのGalaxy S10 5Gに搭載される5GモデムであるExynos 5100は十分な供給量がないため、Appleの分はないはずです。また、有名なアナリストいわくMediaTekやUniSOCはAppleの求める厳しい基準を通過するのが難しいとのこと。
HuaweiはAppleへの5Gモデム提供を否定
そこで、IntelもしくはHuaweiの5Gモデムが搭載されるのではないかという噂がありました。
特に、HuaweiはMate Xに搭載されるBalong 5000というモデムをすでに生産しているため、米中貿易戦争のさなかにもかかわらず、iPhoneにHuawei製の5Gモデムが乗るかもしれないと話題でした。
しかし、Huaweiは先日、すぐさまこれを否定しました。
Response to Apple 5G modems question: No change in terms of our chip set strategy. And no communication with Apple about #5G modems. But they believe that Apple is a great company and a pivotal company in the mobile industry. #HAS2019
— Anshel Sag (@anshelsag) 2019年4月16日
Intelも5Gモデムを開発してはいるものの、スマートフォンに搭載できるほど小型なものは開発途中でした。iPhoneに搭載されるようになるまで、5G対応iPhoneの登場は遅れるかもしれないと思われていました。
AppleとQualcommの和解により5G対応iPhoneの登場が近い?
このようなAppleにとって厳しい状況の中、5G対応iPhoneの開発を急ぎたかったという思惑もあって、和解に至ったのだと思われます。
Qualcommとの和解により、Appleはミリ波を含む5G対応iPhoneを早期投入できるようになり、法廷闘争による販売停止命令などのリスクも回避できました。一方で、QualcommはAppleという巨大顧客を再び獲得できたことになります。
ミリ波とは?
ミリ波帯とは、波長がミリ単位、つまり周波数が30−300Ghzの電波のことを言います。
従来の800MHz-3.5GHzの電波に比べて通信量を大きくできるため、より高速な通信、また、動画などの大量のトラフィックを要するファイルの安定送信ができるようになりますが、一方でビル群や山間部などの障害物が多いところでは繋がりにくい傾向にあります。
詳しくはこちらで解説しています。参考にしてください。
スマートフォンの周波数帯でBand 1(2.1 GHz)といった表記をよく見かけませんか? この中でも、700 MHz - 8...
Qualcommは和解にあたって特許のライセンス料等を減額したと見られていますが、それでも和解が業績に与える良いインパクトは大きく、株価もそれを裏付けるように大幅に上昇しています。
追記:ライセンス料はむしろ値上がりした模様です。
Intelはスマートフォン向け5Gモデム事業から撤退
また、和解の発表を受けてIntelはスマートフォン向け5Gモデム事業から撤退を発表しました。IntelはQualcommと係争中のAppleへ、2020年のiPhone向けの5Gモデムを提供する計画でしたが、Qualcommの参入に対して提供、開発を断念する形になりました。
ここ見てる人、中韓以外の関心が全くないな
yahooニュースかと思うくらいに。
この記事割とビッグニュースだと思うんだけど