サムスンは2日、同社のスマホ向けイメージセンサーブランド「ISOCELL」より、新型イメージセンサ2機種を新たに発表しました。そのうち、新シリーズとなるHPの名を冠して登場した「ISOCELL HP1」は世界初の2億画素(200MP)の解像度を持ったスマホ向けイメージセンサーとなっています。
世界初の2億画素センサーISOCELL HP1、まさにサムスンの本気
ISOCELL HP1の2億画素センサーは、1/1.22インチというセンサーサイズそのものの大型化に加え、画素ピッチ0.64μmの極小画素を詰め込んだことにより実現されています。
これほどのセンサーはサムスン製センサーの中でもかなり巨大な部類で、より大きいものとなると当時世界最大とされた1/1.12インチの「ISOCELL GN2(Mi 11 Ultraに搭載)」など先行例は限られています。そして画素ピッチもまたサムスンが持つ技術力の限りを動員したもので、0.64μmピッチのセンサーは、センサーサイズの小ささ(1/2.76インチ)と高解像度(50MP)の両立をウリにしているISOCELL JN1のみ。まさに、最大サイズのセンサーに最小サイズの画素を敷き詰めて作られた、最高解像度のセンサーというわけです。
スマホ向けセンサーに2億もの画素を搭載することによる画質の劣化及び低照度撮影に対しては、現行の多くの高解像センサーと同様にピクセルビニング技術で対処しています。
0.64μmの各画素4つを1画素とみなすことで1.28μm50MPのセンサーとして、また16個の画素をまとめて2.56μm12.5MPのセンサーとして利用することが出来るようになっているようです。50MP駆動時にはそのままリサイズなしで8K/30fps映像の撮影が可能です。サムスンはこの16画素ピクセルビニング技術を「カメレオンセル」と呼称しています。
12.5MPへのピクセルビニングで2.56μmの大型画素から受光することにより比較的高画質な撮影を実現しているとみられますが、最大の魅力である2億画素での撮影がどれほど実用的な画質を確保しているのかが問題となりそうです。通常使用では主に50MPと12.5MPが中心になるでしょう。
現在Galaxy S21 Ultraなどサムスンの上位機種、Xiaomiの一部スマホなどで採用されているサムスンの1億画素センサーは、既に最大までズームする必要がほとんど感じられないほど高解像度であり、2億画素という値は1億画素センサーと比較して額面ほどの差としては受け取られない可能性があります。
また、既にSnapdragon 888やDimensity 1200など、各社の上位SoCを中心に2億画素に対応したISP(画像処理プロセッサ)を搭載するSoCが登場しており、今後具体的にISOCELL HP1を視野に入れた製品も増加してくるものとみられます。
ISOCELL GN5 - ハイエンド向け主力センサーの新型
同時に、50MPの標準高解像度センサー、ISOCELL GN5も発表されました。ISOCELL GN2の後継で、GN3、GN4は今のところ欠番となっています。
GNシリーズ過去2製品の例にもれず50MPのセンサーで、画素ピッチは1.0μmのHP1などと比べ比較的扱いやすい高解像度センサーです。GNシリーズはvivo X60 Pro+(GN1)、Xiaomi Mi 11 Ultra(GN2)などで採用されているハイエンド向けのラインで、GN5も今後2022年初頭にかけてvivo、Xiaomi、そしてサムスンの上位機種を中心に採用が見込まれます。また、GN2では1/1.12インチの超大型センサーが話題になりましたが、GN5は1/1.57インチと至って標準的なサイズとなっています。
オートフォーカス機能を向上する「Dual Pixel Pro」技術を搭載していることが他機種との最も大きな違いのようです。各画素の水平または垂直方向に2つのフォトダイオード(光を検知する部品)を配置することで、全方向の変化を認識したオートフォーカスを実現しているとのこと。
また、FDTIという技術により「フルウェル容量」を増加させ、フォトダイオードの検知できる光の量がより多くなっているということです。
ISOCELL HP1、GN5はどちらも既にメーカー向けにサンプルの提供が始まっているということで、一般消費者の手に渡るのもそう遠くないかもしれません。
Source:Samsung Newsroom
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