タブレットといえばAppleのiPadを始め、AmazonのKindle、SamsungのGalaxy Tabなどが有名ですが、スマートフォンに中華スマホという区分があるのと一緒でタブレットにもいわゆる中華タブレットといったものがあります。
中華スマホやタブレットは超低価格ながらもしっかりとした性能を持っているのが特徴ですが、実際に使ってみると細かい問題点が多く、安物買いの銭失いになることがあります。
今回は中国の有名タブレットメーカーであるCHUWI様からAndroidタブレット、「CHUWI HiPad X」をお借りしたのでどこまで使えるのか簡単にレビューしていきます。
いいところ
- デュアルSIMで音声通話も技術的には可能(現時点では技適未取得)
- 純正キーボードやスタイラスがある
- 値段が安いところ(超大事)
わるいところ
- ディスプレイのタッチ感度が高すぎる
- 全体的に洗練されていない感
目次
スペック概要
今回レビューするCHUWI HiPad Xのスペックは以下の通り。
- SoC:MediaTek Helio P60 オクタコア
- ROM:128GB UFS
- RAM:6GB LPDDR4X
- ディスプレイ:1,920×1,200px 10.1インチ IPS液晶
- バッテリー:7,000mAh、5V2A充電
- OS:Android 10.0
- 重量:560g
- 厚み:9.5 mm
- SIM:nanoSIM x2のデュアルSIM(B1/B2/B3/B4/B5/B7/B12/B14/B17/B20/B25/B26/B30/B66/B71/B38/B41)
- GPS:あり
- その他:USB Type-C、3.5mmイヤホンジャック、microSD対応、シングルスピーカー、生体認証なし
SoCがMediaTek Helio P60でRAMが6GBと格安中華タブにありがちなスペックである一方で、デュアルSIMによるLTE通信やGPSに対応しています。(iPadでいうCellularモデルです)
このハードウェアスペックを備えながらも価格は2万円台に抑えられており、コストパフォーマンスは最強です。
なお、Antutuベンチマークスコアは約16万。決してスペックが高いとは言えませんが必要最低限の仕事はできるでしょう。
作りが意外と悪くないことに驚く
まずは外観から見ていきましょう。
本体はひんやりとしたアルミニウム製です。ゲーミングタブレットのような形状をしており、ぱっと見た感じ高級感を感じます。上部にある黒い帯はひんやり感がないためプラスチック製のアンテナ部だと思われます。
なお、左側の穴はスピーカーとなっています。右側の穴からは音は出ないのでダミーとなっているのでしょう。
ディスプレイ側はこんな感じ。ベゼルはかなり太めで昔のiPadを思い起こさせます。ちなみに中国メーカーあるあるですが、最初から保護フィルムがはられていました。他のスマホやタブレットもそうしてくれたらいいのに...
左右にあるのは専用キーボードの位置合わせのためのただの穴です。
特徴的なのは下部。専用のキーボードと接続するためのマグネット端子があります。充電もペアリングもなしで利用可能となっています。
USB-Cポートなど各種ポート類を見るとバリが立っているのが気になるものの、全体的なビルドクオリティは高いです。
ディスプレイは良くも悪くもない
タップで拡大可能
タブレットの最大の用途はコンテンツ消費であり、その際に大事なのがディスプレイの品質です。
CHUWI HiPad XはIPS液晶の1,920×1,200px、10.1インチディスプレイとなっています。
肝心の品質ですが、発色はいいものの超高解像度のスマートフォンに見慣れた状態で見ると少しあらが目立ちます。写真鑑賞には向かないものの、簡単な動画鑑賞やブラウジングは問題ないといったところでしょうか。
最大の欠点がディスプレイ感度が高すぎるところ。特に何もしていないのにまるで水に濡れたかディスプレイのように勝手に様々なところに反応し始めます。
この現象ですが、キーボード接続時には起きにくい一方で、寝ながらタブレット操作しているときに頻発します。タブレットの角度も影響しているのでしょうか。詳細は不明です。(※個体差の可能性もあります。)なお、一部の端末は設定画面よりディスプレイ感度を設定できるようですが、HiPad Xは非対応でした。
ともかく、今までタブレットはiPadしか触ったこと無い私にとっては初めての体験でした。これが中華タブレットか......
バッテリー持ちは素晴らしい
タブレットといえば超強力なバッテリー持ちが魅力ですが、HiPad Xも例にもれずバッテリー持ちは素晴らしいです。
半日の間YouTubeで音楽を再生し続けるという使い方をしてみたところ、1日の終わりには54%となっていました。かなり無茶な使い方をしても2日、普通に使っていれば3日以上はバッテリーは持つようです。
一方で微妙なのが充電速度。18W充電に対応しておらず、0%→100%の充電は約3時間半かかります。バッテリー持ちを心配する必要はないものの、こまめな充電は欠かせません。
スピーカーの品質はお世辞にもいいとは言えない
背面のモノラルスピーカー
コンテンツ消費の一環で大事なのがスピーカーの品質ですが、HiPad Xのスピーカーは正直に言ってしまえば微妙です。
その元凶は背面モノラルスピーカー。デザイン上の理由かどうかはわかりませんが、背面にスピーカーがありディスプレイをこっちに向けると音がこもって聞こえます。
キーボードでスピーカーが覆われる
それだけでなく、専用のキーボードを付けているといわゆる風呂の蓋部分がきれいにスピーカーを覆い隠してしまい、もっと音がこもります。(これ設計ミスでしょ......)音の解像度もお世辞にもいいとは言えないため、音楽を楽しみたいのであれば素直に外付けスピーカーかイヤホンを利用するのが良さそうです。幸い、3.5mmイヤホンジャックはありますからね。
キーボードは良いがトラックパッドは微妙
専用キーボードはお風呂の蓋とセットになっている
HiPad Xは専用のキーボードがあることが魅力の一つです。このキーボード、なかなか使いやすいんですよね。
フルサイズキーボードとの比較。流石に小さめではある。
流石にキーピッチは狭めであるものの、iPad向けのキーボードと遜色無いです。強いて言えばUS配列になれるのに時間がかかるぐらいでしょうか。
問題はトラックパッドの方。反応は良いのですが、クリックの感触がかなり重いです。思った以上に力を入れないとクリックにならないのが若干のストレスです。
机を整理しておかないと設置できないのが残念
もう一つ気になるのがこの専用キーボードの仕様。スタンドとなるお風呂の蓋とキーボードが一体化しているため、動画再生などのコンテンツ消費のときにもキーボード分のフットプリント空間を用意しておく必要があります。
料理中に台所においてレシピを確認したり、寝室やトイレの狭いところにおいて動画を流したりなどの用途が多いのがタブレットですが、スタンド状態にするにはキーボードが必須であるのが使っていて引っかかるところでした。
畳んだ状態。かなりの重量感
それだけでなく、一体化しているため合わせると約867gとかなりの重量となります。分離できるようになってたらすごく良かったんですけどね......
スタイラスもあります
なお、HiPad Xにはスタイラスも用意されているようです。今回お借りすることができなかったためチェックできませんでしたが、タブレットとしてのオプションが多いのはいいことです。
SIMが挿せるのは大きな魅力(ただし技適はない)
CHUWI HiPad Xは2万円台ながらもSIMがさせます。
SIMカードスロットはnanoSIM×2またはnanoSIM+microSDという仕様となっています。
電話アプリで電話をかけることが可能。このサイズで電話可能というのが面白い。
面白いのが電話もできること。タブレットというよりかはファブレットですね。SMS認証や緊急時に電話代わりとしても利用することが可能となっています。
※CHUWI HiPad Xは(現時点では)技適がありませんのでご利用は自己責任でお願いします。
主な用途はコンテンツ消費
しばらく使用した感想ですが、HiPad Xの主な用途はやはりコンテンツ消費であると感じました。
例えばYouTubeなどの動画視聴。MediaTek Helio P60搭載と不安ではあったものの、普通にしっかりと動いてくれます。電子書籍やWebブラウジングと言ったことも問題なくこなすことができるでしょう。
一方で、快適にコンテンツ消費がこなせるかと言われると一概にそうですとは言い切れません。バッテリーによる制限はないもののスピーカーの品質が良くないこと、ディスプレイの感度が高く誤作動が多いこと、キーボードでフットプリントが多いことなど、様々な障害があります。このあたりが中華タブレットと呼ばれる所以だと思います。
Webライターならクリエイトも可能
iPadが得意とするクリエイト要素ですが、一概にできないとは言い切れません。
確かに動画編集、写真編集はスペック上難しい気がしますが、例えば私のようなWebライターであれば、キーボードを生かして執筆活動ぐらいはできます。実際に当記事の一部はHiPad Xで執筆しました。用途次第では十分活躍できるだろうと思いますよ。
まとめ:iPadより安くKindleより上のタブレットを求めるユーザにとっては良いかも
以上、CHUWI HiPad Xのレビューでした。
2万円台に抑えられていることを踏まえると完成度は比較的高いほうだと思います。
一方で、予算に余裕があるのであればiPadのほうがいいし、予算に余裕がないのであればKindleを選ぶユーザも多いでしょう。Kindleに比べるとスペックは上で、Androidアプリのダウンロードも簡単です。
万人にはおすすめできないものの、SIMカードを挿したいしあわよくば電話もしたい、有線のキーボードがほしい、そしてとにかくコスパ重視という人にはいい機種だと思います。
※本レビューは総務省の「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」を利用しています。技適のない端末の使用は自己責任でお願いします。
iPad以上の強い奴はいつ現れるのやら