イオンモバイルは、大手スーパーマーケットチェーン イオングループの一角を担う「イオンリテール株式会社」が運営する格安SIMです。
全国のイオン店舗で買い物がてら手軽に即日契約できる利便性の良さもあり、近年着実にシェアを伸ばしている注目の格安SIMです。
今回は、telektlistライターの森野がイオンモバイルの特徴とメリット&デメリットをリストアップし、辛口レビューしてみました。これらのポイントをチェックして、ぜひ格安SIMの導入にお役立て下さい。
目次
まとめ:店頭で格安SIMを契約したいユーザにはおすすめ
料金プランが多く(41種類)ライトユーザ向け・ヘビーユーザ向け・家族でシェアしたいユーザ向け等様々なプランが用意されています。インターネット上でご自身で判断されたい方よりは、店頭でおすすめプランを提案してほしい方におすすめです。
①店舗サポートが手厚い!
画像引用:イオンモバイル太田店
イオンモバイルは全国200以上のイオン店舗にショップを持っています。買い物がてら気軽に立ち寄れる利便性の良さが魅力です。
格安スマホといえばWeb申込み&手続きが基本です。もちろんWeb申込みもできますが、イオンモバイルの場合は大半のユーザーが店舗で契約しています。多くの格安SIMは即日契約可能な店舗の選択肢が限られるため、店舗サービスに力を入れた格安スマホは、業界でも珍しいケースと言えるでしょう。
店舗型のメリットは、実機を直接確認したり、わからないことがあればすぐスタッフに尋ねたりできる点です。すぐに疑問が解決すれば契約のハードルも一気に下がるので、スマホ初心者におすすめです。
ネット経由で店舗受付シートを用意しておけば、店舗での契約時間を短縮できるので、時間がかかりそうな時は事前に準備しておくことをおすすめします。
②41種類もの豊富なプラン&業界最安値クラスの料金
イオンモバイルには、全部で41種類もの豊富なプランが用意されています。通信容量は、低容量200MB~大容量50GBまで、多くの選択肢があります。それに加えて、「SIMの種類」と「回線の種類(ドコモ回線&au回線)」を組み合わせる形式です。
月額料金はいずれも業界最安値クラスで、回線による料金の差異はありません。
家族皆で使いたいなら、1人あたりの料金が安い「シェア音声プラン」がお得です。
さて、ここで注意したいのがドコモ回線の「タイプ1」と「タイプ2」の違いです。ドコモ回線の音声通話SIMまたはシェアSIMを契約予定の人は必ずタイプ1になるので関係ありませんが、タイプ2はデータ通信専用SIMのみ選択可能です。
タイプ1は直近3日間で366MB以上の通信容量を超えると通信制限の対象となるため、データ通信専用SIMを検討している人は通信制限のないタイプ2を選択することをおすすめします。
2020年9月からは、60歳以上のユーザーを対象にした「やさしいプラン」の提供が開始され、話題を集めました。
同プランは通常のプランよりも格安料金なのですが、下りの通信速度が500kbpsに制限(※やさしいプランminiを除く)されます。あまりスマホを使わない人であれば問題ありませんが、ビデオ通話・動画視聴・音楽聴取など大容量のデータ通信を必要とするコンテンツの利用にはストレスを感じるでしょう。
③ローエンド~ミドルレンジ中心の端末ラインナップ
2020年10月時点で、国内外メーカー19種類のAndroidスマホと1種類のタブレットを販売しています。ローエンド~ミドルレンジモデルが中心で、ハイエンドモデルやiPhoneシリーズは取り扱っていません。最新機種の取り扱いも少ないです。
格安SIMは基本的に自分で設定する必要があるため、初心者には初期設定のハードルが高いのが難点でした。しかし、イオンモバイルの販売端末は全て初期設定済みなので、すぐに利用できるのは嬉しいですね。
もっとも、端末価格は市場価格とほぼ同程度なので、イオンモバイルで購入する決め手にはなりにくいです。ある程度スマホに慣れた人には物足りないラインナップなので、SIM契約だけに留めておいた方が良いでしょう。
④(一部例外があるものの)通信速度は遅め
イオンモバイルは、ドコモ回線とau回線を提供しています。
通信速度の口コミは賛否がわかれているイオンモバイルですが、実際のところはどうなのでしょうか。
第三者機関の「keisoku.io」が調査した直近1週間分(2020年9月28日~10月4日)の計測結果を見ていきましょう。
【au(タイプ1)】
日付 | 通信速度 | |||
朝 (8時~8時30分) | 昼 (12時15分~45分) | 夕方 (17時30分~18時) | 夜 (19時~22時) | |
9/28(月) | 4.6 Mbps | 0.4 Mbps | 3.6 Mbps | 6.8 Mbps |
9/29(火) | 2.0 Mbps | 0.3 Mbps | 3.7 Mbps | 5.3 Mbps |
9/30(水) | 2.3 Mbps | 0.3 Mbps | 2.8 Mbps | 4.0 Mbps |
10/1(木) | 2.6 Mbps | 0.4 Mbps | 1.1 Mbps | 10.2 Mbps |
10/2(金) | 5.6 Mbps | 0.3 Mbps | 0.3 Mbps | 5.1 Mbps |
10/3(土) | 2.4 Mbps | 0.8 Mbps | 0.9 Mbps | 13.3 Mbps |
10/4(日) | 14.9 Mbps | 4.6 Mbps | 5.4 Mbps | 9.3 Mbps |
【ドコモ(タイプ1)】
日付 | 通信速度 | |||
朝 (8時~8時30分) | 昼 (12時15分~45分) | 夕方 (17時30分~18時) | 夜 (19時~22時) | |
9/28(月) | 8.6 Mbps | 0.3 Mbps | 6.3 Mbps | 7.5 Mbps |
9/29(火) | 5.9 Mbps | 0.3 Mbps | 1.9 Mbps | 5.2 Mbps |
9/30(水) | 6.6 Mbps | 0.3 Mbps | 1.6 Mbps | 4.3 Mbps |
10/1(木) | 5.0 Mbps | 0.3 Mbps | 1.5 Mbps | 4.4 Mbps |
10/2(金) | 4.6 Mbps | 0.3 Mbps | 1.6 Mbps | 3.6 Mbps |
10/3(土) | 10.1 Mbps | 1.4 Mbps | 2.2 Mbps | 5.0 Mbps |
10/4(日) | 6.7 Mbps | 5.6 Mbps | 4.3 Mbps | 3.4 Mbps |
【ドコモ(タイプ2)】
日付 | 通信速度 | |||
朝 (8時~8時30分) | 昼 (12時15分~45分) | 夕方 (17時30分~18時) | 夜 (19時~22時) | |
9/28(月) | 14.2 Mbps | 15.3 Mbps | 11.7 Mbps | 17.7 Mbps |
9/29(火) | 14.3 Mbps | 16.5 Mbps | 10.9 Mbps | 11.3 Mbps |
9/30(水) | 21.9 Mbps | 17.8 Mbps | 17.7 Mbps | 13.6 Mbps |
10/1(木) | 16.3 Mbps | 17.3 Mbps | 13.1 Mbps | 18.0 Mbps |
10/2(金) | 10.7 Mbps | 13.1 Mbps | 7.0 Mbps | 7.4 Mbps |
10/3(土) | 6.8 Mbps | 10.8 Mbps | 2.5 Mbps | 6.3 Mbps |
10/4(日) | 10.6 Mbps | 8.3 Mbps | 6.6 Mbps | 24.1 Mbps |
インターネットブラウジングやSNSなどを利用する場合は問題ありませんが、動画視聴やビデオ通話、オンラインゲームなど大容量のデータ通信を必要とする大容量コンテンツは3~5 Mbpsの通信速度が望ましいとされています。
今回の結果を見ると、タイプ1はau回線・ドコモ回線共に通信速度制限という懸念材料こそありますが、格安SIMの中では平均的な速度です。ただし、昼~夜にかけて混雑しやすい時間帯は通信速度が著しく遅くなる傾向にあり、ストレスを感じそうです。
一方、タイプ2の通信速度は格安SIMの中でも上位にランクインします。大容量コンテンツも、ストレスなくサクサクと利用できそうです。タイプ2はDocomo回線の音声無し・データシェア無しの場合のみ適用になります。
⑤無料貸し出しサービスを提供している
イオンモバイルでは、契約を検討している人向けに無料貸し出しサービスを提供しています。
端末とデータ通信専用SIMを一週間無料でレンタルできますが、貸し出し端末は「arrows M03」、回線の種類は「ドコモ タイプ2」に限定されています(2020年10月時点)。
かなり古い機種なので、正直に言って実用的とは言えません。試してみたいのであればSIMだけレンタルして、手持ちのSIMフリースマホに差し替えることをおすすめします。
⑥余ったデータ通信量は翌月に繰り越しできる
その月に使い切れなかったデータ通信料は、翌月に自動繰り越しされます。繰り越し分は使用期限があるため、優先して消費されます。
なお、音声プラン及びデータプランは他のユーザーに余ったデータ通信量をシェアすることはできませんが、シェア音声プランなら家族でデータ通信量をシェアできます。
⑦契約期間・契約解除料縛りなし
イオンモバイルでは、全てのSIMを対象に契約期間の縛りを設けていません。契約解除料も発生しないため、音声通話SIMも気軽に試せるのは嬉しいですね。ただし、MNP転出料は発生するため、少なくとも91日以上利用した方が安く済みます。
- 課金開始から90日以内の転出手数料:15,000円(税抜)
- 課金開始から91日以降の転出手数料:3,000円(税抜)
まとめ:基本的にはライトユーザ向け、但し、一部ヘビーユーザー向けプランも
イオンモバイルのメリットとデメリットは、以下の通りです。
○メリット
- 店舗が多くアフターサービスも充実している
- 月額料金最安値クラス
- 「ドコモ(タイプ2)」の通信速度が速い(ただし、音声無し・データシェア無し)
- 通信量繰り越しOK
- 無料の貸し出しサービスを提供している
- 端末は全て初期設定済み
- イオンカードを支払い登録すると、WAONポイントに変換可能な「ときめきポイント」が貯まる
×デメリット
- 通信速度が遅め(「ドコモ(タイプ2)」は例外)
- タイプ1は通信制限が前提となっている
- MNP転出手数料が高め(90日以内だと税込み16,500円)
- 料金プランが多く、タイプ1とタイプ2で通信品質が大きく変わる、等複雑
これらのメリットとデメリットを踏まえると、イオンモバイルは以下の人に向いています。
- 店員に相談しながらSIM契約をしたい人
- 生活圏内にイオン店舗があり、WAONを使う機会が多い人
- 通信速度の速いデータ専用SIMが欲しい人(タイプ2がおすすめ)
通信速度は格安SIMの中でそもそも遅い部類にはいるのですが、さらに「au(タイプ1)」「ドコモ(タイプ1)」において、3日間の通信量が366MBをオーバーすると通信速度が制限されることも、使い勝手を悪くしている一因となっていることは否めません。
イオングループは格安SIM事業にかなり力を入れているので、長く堅実に利用するなら選択肢に入れても損はないでしょう。
イオンモバイルの申し込みは店舗がおすすめ!
イオンモバイルは、公式サイトや全国のイオン店舗などで申し込みできます。
店舗では事務手数料が値引きされる「エントリーパッケージ」も販売されているので、かなりお得です。
格安SIMを検討している方は、ぜひイオンモバイルも候補に加えてみてはいかがでしょうか。
甘口レビューだった