当サイトでは様々なスマートフォンを紹介しています。その多くは国内モデルではなく海外モデルであり、みなさんも海外のスマートフォンに興味を持たれていると思います。スマートフォンの購入の検討をする際、国内で使用するときに通信できるかどうかは大事な要素の一つです。
今回の記事は、日本国内の各キャリアの4G周波数帯(4Gバンド)をまとめたもの(2020年3月現在)になります。ぜひスマートフォンの購入時の参考にしてください。
なお、最初に周波数帯に関する基礎知識の解説がありますので、周波数帯だけ確認したい方は最後の項目「全4キャリアの4G周波数帯まとめ」まで飛ばしてご確認ください。
また、5G周波数については以下ページをご覧ください。
目次
そもそも周波数帯って?
スマートフォンは電波を使ってインターネットや電話のデータ通信をしています。その電波は様々な周波数帯(バンド)に分割されており、各キャリアが特定の周波数帯を国(総務省)から割り当てられ、その周波数帯で通信ができる設備を整備しています。そして、スマートフォンごとにも受信できる周波数帯が決まっています。
そのため、キャリアごとに使える周波数帯は異なり、その周波数帯に対応したスマートフォンでなければデータ通信ができないのです。
周波数帯はBand x(xには数字が入ります)のようにして分類されております。自分が使いたいキャリアの周波数帯と、自分がほしいスマートフォンの周波数帯を比較し、同じ物があればその周波数帯での通信ができる、ということになります。
【コラム】周波数の性質について
Band xのあとにx.x GHzのような数字がありますが、この数字を見ることでだいたいそのバンドの電波がどのような性質を持つのがわかります。これについては別記事で紹介していますので興味がございましたらぜひ見てみてください。
技適について
海外スマートフォンを購入する前に、通信関係で周波数帯以外に気をつけてほしいのが「技適」です。
技適とは、技術基準適合証明もしくは技術基準適合認定を略したものです。
技適は日本の無線技術基準が守られていることを示すマークであり、日本ではBluetooth、WiFiなどを含む無線通信をする機器は技適を取得し、このマークを印刷もしくは表示しなければならず、メーカーがこれを取得しなかったり、我々がこれを取得していない機器を国内で使用したときは電波法110条に基づき罰せられます。(具体的には、「一年以下の懲役または100万円以下の罰金に処する」ということになっています。)
技適マークはこんな感じのマークです。
電波法はもともと、日本のインフラとしての電波を保護するために制定されたものであるため、実は適を取得していない海外のスマートフォンを使用することで電波法違反で逮捕された人はいません。(YouTubeの動画をダウンロードして著作権法違反で逮捕という人がいないのと似たような感じです。)
しかし、事実法律違反ではあるため、海外スマートフォンを購入する際には技適を確かめ、技適を取得していないスマートフォンは購入しない、購入しても国内で通信は使用しないようにしましょう。
【重要】当サイトは技適未取得のスマートフォンの購入を推奨するものではありません。
参考 : ITmedia
各キャリアの4G周波数帯まとめ
それでは本題の各キャリアにおける周波数帯のまとめになります。
docomoの4G周波数帯
NTTdocomoはIIJmio、LINE mobileを始めとした多くのMVNOが採用している回線です。海外の端末を購入してdocomoのMVNOで運用するという方も多いのではないでしょうか。
そんなみなさんが気になるdocomoの4G周波数帯は以下のようになっています。
- Band 1 [2.0 - 2.1 GHz](1920MHz~1980MHz/2110MHz~2170MHz)
docomoにおける主力の周波数帯。docomoの4GはほとんどのこのBand 1を用いて通信する。なお、日本のキャリア3社すべてが採用している帯域であり、海外のキャリアも多くがBand 1を採用している。Band 1対応は必須条件とも言えるだろう。
docomoではそこそこの高速帯域(最大112.5Mbps)であり、エリアも広い。 - Band 3 [1.7 - 1.8 GHz](1710MHz~1785MHz/1805MHz~1880MHz)
東名阪エリア限定で使用される周波数帯。
Band 1よりも高速(最大150Mbps)で、高速通信を担当する。 - Band 19 [800 MHz](830MHz~845MHz/875MHz~890MHz)
Band 1では足りない場所、広くカバーするために使われているつながりやすい周波数帯。いわゆるプラチナバンドである。周波数が低いので、速度は遅いが地下やビルの影でもつながりやすい。地方の山間部や新幹線の中など、電波が繋がりにくいようなところではこれにつながることが多いため、あるととても良い。なお、速度は75Mbpsとそこそこである。 - Band 21 [1.5 GHz](1447.9MHz~1462.9MHz/1495.9MHz~1510.9MHz)
日本独自の周波数帯で補完的に用いられるバンド。そのため対応機種はまだまだ少ないが、最近は関東でも繋がるためあったらなお良い。 - Band 28 [700 MHz](703MHz~748MHz/758MHz~803MHz)
Band 19と同じくプラチナバンドである。現在のところ優先度は低いが、今後大事になるのかもしれない。 - Band 42 [3.5 GHz](3400MHz~3600MHz/3400MHz~3600MHz)
キャリアアグリゲーション(docomoはPremium 4Gとよんでいる)で用いる帯域であり、高速通信に用いられる。その速度は驚きの294 Mbpsであり、今後のdocomoの回線の整備を考えると対応していたほうが捗ると思われる。
まとめ
docomoではBand 1, Band 3, Band 19に対応していることが必須であると思います。Band 1とBand 3で高速通信し、ちょっと郊外にお出かけするときはdocomoお得意のカバー率の高さをサポートするBand 19を使うので、この3つさえあれば大丈夫でしょう。
今後の展望を考えるとBand 42も欲しいところです。docomoは2019年の春から受信速度が最大1288 MbpsのPremium 4Gのサービスを開始します。このPremium 4Gの核がBand 42なのです。
これが受信速度が最大1288 Mbpsの仕組みです。上の2つがBand 42で、その後は順番にBand 1, Band 3, Band 19です。つまり、Band 1, Band 3, Band 19, Band 42の通信を同時にすること(束ねること)で理論上1288 Mbpsを叩き出せるということになっています。これを利用するにはBand 42対応だけでなく4×4 MIMOや256QAMにも対応しなければならないですが、詳しく話すと長くなるので省きます。
Premium 4Gにつながらなくても294 Mbpsの4G通信ができるので、Band 42に対応しておいて損はないと思います。
なお、docomoのサービスエリアはこちらから確認できます。こちらも参考にしてみてください。
(docomo系MVNO)
auの4G周波数帯
auは準MVNOのUQmobileや、mineoをはじめとした各社MVNOが採用している回線です。とくに、UQmobileは安定した高速通信ができるのでキャリアとして選択肢にある方も多いのではないでしょうか。
そんなauの4G周波数帯は以下のようになっています。
- Band 1 [2.0 - 2.1 GHz](1920MHz~1980MHz/2110MHz~2170MHz)
auにおける主力の周波数帯の一つ。docomoやSoftbankよりかは通信エリアが弱いが、いかに述べるBand 18と合わせると広いカバー率になる。なお、日本のキャリア3社すべてが採用している帯域であり、海外のキャリアも多くがBand 1を採用している。Band 1対応は必須条件とも言えるだろう。 - Band 3 [1.7 - 1.8 GHz](1710.0~1730.0 MHz/1805.0~1825.0 MHz)
2019年春より新たに追加された周波数帯。競合他社も同じ周波数帯を利用しているが、そこに参入する形となった。 - Band 11 [1.5 GHz](1427.9MHz~1447.9MHz/1475.9MHz~1495.9MHz)
対応エリアが狭く、そこまで重要ではない。 - Band 18 [800 MHz](815MHz~830MHz/860MHz~875MHz)
通信エリアを広くカバーするために使われているつながりやすい周波数帯。いわゆるプラチナバンドである。周波数が低いので、速度は遅いが地下やビルの影でもつながりやすい。地方の山間部や新幹線の中など、電波が繋がりにくいようなところではこれにつながることが多いため、あるととても良い。
auのLTEはBand 1とこのBand 18を同じレベルで主力としているのでこれがないとauは繋がりにくくなる。iPhone 5はBand 18非対応だったが、auのiPhone 5は地下や人混みではほとんど3Gであり、使いにくかった。(筆者経験談) - Band 26 [800 MHz](814MHz~849MHz/859MHz~894MHz)
Band26はBand5,6,18,19を内包しているプラチナバンドであるためBand18に対応していなくても、Band26に対応していればBand18を掴むことが出来る。 - Band 28 [700 MHz](703MHz~748MHz/758MHz~803MHz)
Band 18及びBand 26と同じくプラチナバンド。最近エリアが広がりつつある。 - Band 41 [2.5 GHz](2496MHz~2690MHz/2496MHz~2690MHz)
いわゆるWIMAX, WIMAX2+。高速通信(受信最大440 Mbps)を担当している。 - Band 42 [3.5 GHz](3400MHz~3600MHz/3400MHz~3600MHz)
キャリアアグリゲーションで用いる帯域であり、高速通信に用いられる。その速度は279 Mbpsであり、キャリアアグリゲーションで高速通信をしたいときには必須である。
(出典:SIMロック解除が可能なau携帯電話などの実装周波数帯一覧)
まとめ
auではBand 1, Band 18(Band 26)に対応していることが必須であると思います。特に気をつけなければならないのがBand 18(Band 26)です。auは早い時期から「つながりやすいau」と宣伝して、プラチナバンドと呼ばれるこの周波数帯をメインとして整備していました。逆に言うと、Band 18(Band 26)に対応していないと「つながりにくいau」になりますので注意しましょう。なお、Band 18はBand 26を内包しているため、Band 18のみ、もしくはBand 26のみでも大丈夫です。
高速通信もしたいのでしたら、Band 41とBand 42にも対応しておくと良いでしょう。特に、Band 41はWIMAXとして早いうちから整備していたため、カバー率も広いです。
Band 42はdocomoと同じくキャリアアグリゲーションに用いられます。この図だと、上から準にBand 1, Band 42, Band 41ですので、Band 42に対応しているとさらなる高速通信(受信速度が最大1237 Mbps)ができます。キャリアアグリゲーションを利用するにはスマホがBand 42対応だけでなく4×4 MIMOや256QAMにも対応しなければならないのですが、詳しく話すと長くなるので省きます。
auではキャリアアグリゲーションはすでに提供開始されていますが、エリアが1237 Mbpsが東京都、埼玉県の一部、956 Mbpsが宮城県、東京都、埼玉県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、福岡県の一部とまだまだエリアが狭いです。今後に期待ですね。
なお、各周波数帯のサービスエリアはこちらから確認できます。
(auサブブランド)
Softbankの4G周波数帯
SoftbankはMVNOで目にすることは少ないですが、準MVNOのYmobileや、日本通信やLINEモバイルといったソフトバンク回線を利用したMVNOがあります。これらを使う方はここの周波数を確認されるといいでしょう。
- Band 1 [2.0 - 2.1 GHz](1920MHz~1980MHz/2110MHz~2170MHz)
Softbankにおける主力の周波数帯。Softbankの4GはほとんどのこのBand 1を用いて通信する。なお、日本のキャリア3社すべてが採用している帯域であり、海外のキャリアも多くがBand 1を採用している。Band 1対応は必須条件とも言えるだろう。
Softbankでは高速通信(112.5 Mbps)を担当しており、エリアも広い。 - Band 3 [1.7 - 1.8 GHz](1710MHz~1785MHz/1805MHz~1880MHz)
Softbankが買収した旧Emobile(現Ymobile)の主力周波数帯である。
もともと別の会社の主力帯域であったこともあってかこれもまた高速帯域(75 Mbps)であり、エリアも広い。 - Band 8 [900 MHz](880MHz~915MHz/925MHz~960MHz)
通信エリアを広くカバーするために使われているつながりやすい周波数帯。いわゆるプラチナバンドである。周波数が低いので、速度は遅いが地下やビルの影でもつながりやすい。地方の山間部や新幹線の中など、電波が繋がりにくいようなところではこれにつながることが多いため、あるととても良い。 - Band 11 [1.5 GHz](1427.9MHz~1447.9MHz/1475.9MHz~1495.9MHz)
実験的に使用されている周波数帯であるため、重要度は低い。 - Band 28 [700 MHz](703MHz~748MHz/758MHz~803MHz)
auのBand 18及びBand 26や、SoftbankのBand 8と同じくプラチナバンドである。
対応エリアはそこまで広くないため、重要度はそこまで高くない。 - Band 41 [2.5 GHz](2496MHz~2690MHz/2496MHz~2690MHz)
いわゆるAXGPであり、モバイルWiFiやSoftbank Airなどに用いられる。
ただし、2018年段階で5Gへの転用が考えられているため、2年以内に停波されるとのこと。 - Band 42 [3.5 GHz](3400MHz~3600MHz/3400MHz~3600MHz)
キャリアアグリゲーションで用いる帯域であり、高速通信に用いられる。その速度は110 Mbpsである。Softbankはそこまでキャリアアグリゲーションによる高速化を推進していないため、docomoやauほど重要ではない。
まとめ
SoftbankではBand 1, Band 3, Band 8に対応していることが必須であると思います。基本的にはBand 1とBand 3で高速通信し、郊外や地下などの繋がりにくい場所でBand 8を用いるため、この3つさえあれば大丈夫でしょう。特に、Softbankはメインバンドの整備を重点的にやる傾向があるため、この3つがあればなんとかなります。
なお、ソフトバンク自体と契約した場合、SIMフリースマホを使うためには3000円程度の事務手数料を払ってSIMカードをマルチUSIMに変えることが必須です。日本未発売のSIMフリースマホの場合はマルチUSIMでも動作しないため、iPhone用のSIMに変更することが必須です(2019年1月現在)。
キャリアアグリゲーションをしたいときはBand 41とBand 42に対応していると良いかもしれません。上の図曰く、Band 42とBand 41のキャリアアグリゲーションで受信最大612 Mbpsを達成しているとのことです。しかし、MVNOではBand 41が利用できないため、MVNO利用の方は気をつけましょう。
また、SoftbankではBand 1, Band 3, Band 8のみを用いたキャリアアグリゲーションもあります。こちらは受信最大400 Mbpsと控えめですが、それでも十分高速です。何度も言いますが、Softbankはメインバンドの整備を重点的にやる傾向があるため、Band 1, Band 3, Band 8が何よりも重要だと思います。
(Softbankサブブランド)
楽天モバイルの4G周波数帯
楽天モバイルはつい最近MNOに参入した新規事業者です。
データ通信容量無制限で2980円で、はじめの1年間無料といった後発事業者らしく攻めたプランで、多くの人が気になっているのではないでしょうか。
そんな楽天モバイルですが、利用する周波数帯はシンプルです。
- Band 3 [1.7 - 1.8 GHz](1730MHz~1750MHz/1825MHz~1845MHz)
楽天モバイル唯一のサービス周波数帯。他社も採用している周波数帯であるため、日本で発売されている端末であれば確実に問題ない。 - Band 18 [800 MHz](815MHz~830MHz/860MHz~875MHz)
auのBand 18を楽天モバイルの基地局がつながらない地域で間借りしている。いわゆるローミング用。
楽天モバイルの基地局はまだ発展途上であるため、楽天モバイルを利用するのであればauのBand 18への対応も必須である。
(出典:総務省「1.7/3.4GHz帯の周波数再編の概要」)
まとめ
楽天モバイルのサービスセリア。濃いピンクが自社のBand 3、薄いピンクがauのBand 18ローミングエリア。
楽天モバイルのエリアはまだまだ狭く、2020年3月段階で自社のBand 3基地局は東京、大阪、名古屋のみです。
楽天モバイルを利用したい人は対応周波数帯の他に自分の行動圏が楽天モバイルサービスエリアかどうかを確認しておいたほうがいいでしょう。楽天モバイルのプランは今の所auローミングは無制限の対象外ですのでエリアの確認が一番大事です。
楽天モバイルサービスエリアはこちらから。
4キャリアの4G周波数帯まとめ
キャリア4社の周波数をまとめたものがこちらになります。
特に重要なものは赤丸で表しています。それぞれのキャリアで赤丸のバンドがあれば大丈夫でしょう。日本で快適にスマホを使うのでしたら、Band 1, Band 3, Band 8, Band 18(Band 26), Band 19 , Band 41 , Band 42 あたりを抑えると良いと思います。
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「◯GHzの数値が大きいほど通信速度が速いという傾向があります。」
⇒間違いですね。周波数の高さと通信速度に依存関係はありません
LTEにおける通信速度は、帯域幅がどれくらい使えるか?なだけなので、
800MHzにおけるバンド幅20MHzと2.1GHzにおけるバンド幅20MHzで速度の違いは
ありません。
※相対的に周波数が高いほど広い帯域幅を使える=速度を上げることが出来る、
って話なだけです。
Bandの特徴の話もそうですが、少々雑な記事になっているのが残念です。