米国時間の9月17日。アップルは同社のファンドAdvanced Manufacturing Fundを通じて、ガラスメーカーのコーニングに対し2億5000万ドル(約270億円)の投資を行うことを明らかにしました。
コーニングとは
弊誌読者の皆さんにはスマホのディスプレイ保護ガラス「Gorrila Glass(ゴリラガラス)」製造メーカーとして馴染みがあるかもしれませんが、コーニングは165年以上にわたってガラス科学やセラミック科学、光学に関する製造と加工を行ってきたメーカーです。
研究室などで使用されるパイレックスも同社の製品。コーニングは、キッチン用品など、生活のいたる所でガラス製品によるイノベーションを提案しています。
コーニングの自社紹介動画
アップルとコーニングの関係
iPhone 11シリーズは「スマートフォン史上もっとも丈夫」だとされるコーニングのカスタムガラスを採用しています。今回の投資は引き続きiPhoneやiPad、Apple Watchで使用されるガラスの開発を支援する目的で行われました。
弊誌でもご紹介しましたが、Vivoは先頃vivo NEX 3のウォーターフォール・ディスプレイとスマホの筐体をガラスで覆い尽くすボタンレスなデザインで、スマートフォンの未来を提示しました。そこにも90°近い急角度で曲がりながら強い強度をもつ、ガラスの新技術が使われています。
Vivoと同じくBBK傘下のOneplusやOPPOも、近年スマートフォンに使用するガラスの研究に力を入れているメーカーです。OneplusやOPPOのスマートフォンの背面は、光を反射しない滑らかでうつくしい特徴的なガラスで覆われています。
スマートフォンにおけるガラスの開発競争は、近年急速に激しさを増していますが、アップルは自社開発にこだわることなく、コーニングへ出資するという形で、より適切な選択を行いました。
「餅は餅屋」ということでしょう。トヨタもホンダも、自社でタイヤを開発しないことは誰でも知っていることです。自社開発にこだわる必要はありません。
コーニングが提示する未来のビジョン
上の動画はコーニングが提示した、近未来におけるガラスの可能性を示したコンセプトです。コーニングとアップルのコラボレーションはiPhoneをコーティングするガラスにとどまらず、近い将来新たなイノベーションをもたらす製品開発へとつながっていくかもしれません。
コーニングでゴリラガラスの開発責任者を務めるJohn Bayne氏は「Appleとは緊密に協力している。Appleが将来の製品でやろうとしていることや、それを当社がどのように支えられるかよく理解している」と語っています。
ガラスによるイノベーションは加速するか
アップルの製品からイノベーションが感じられなくなって、久しくなります。いまや巷間では「新iPhoneの発表でもっとも素晴らしいのは、型遅れのiPhoneが値下がりすることだ」という皮肉まで囁かれています。
コーニングはガラスを使った情報家電や生活家電に関して、多様なアイディアを持っています。コーニングのガラスを使ったアプローチは、アップルに漂う閉塞感を打ち破ることができるでしょうか。
今回の出資を通じて、アップルに次の革新的な製品が生まれることを願ってやみません。
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