スマホの密輸入やグレーマーケットでの取引が社会問題となっているネパール。MDMSと呼ばれるスマホの登録システムが同国政府により導入されましたが、現時点ではどの程度の影響が出ているのでしょうか。今回のマーケットコラムではMDMSを再びテーマとして取り上げます。
目次
ネパールのMDMSは国民にスマホの登録を義務付ける新システム
MDMSは(Mobile Device Management System)と呼ばれる国民に全てのスマホの登録を義務付けるネパールのNTA導入のシステムです。2022年には導入される予定となっていましたが、政権交代などの背景もあり遅延し、今年の5月に正式導入されました。
MDMSの施行により、海外からネパールに帰国する就労者の国民はスマホを二台までしか持ち込むことができなくなりました。また、こうして持ち込まれたスマホはMDMSへの登録が義務付けられます。
MDMSの現状はどうか
MDMSですが、その登録サイトは非常にシンプルに仕上げられておりUIも分かりやすい印象を受けます。外国人向けに英語にも対応するなど、ネパール政府が密輸入問題を真剣に解決しようとしているのが伝わります。
この登録は輸入業者によって輸入段階で行われたり、旅行者が帰国したタイミングなどで行われるもようです。
MDMSに登録しないことで生じる問題
MDMSに登録されていないスマホですが、ネパール国内においてネットワーク接続や通話などができない状態になります。Wi-Fiへの接続は可能と思われますが、この点については触れられていません。
また、紛失の際には紛失・盗難届の手続きができないなどの問題も生じるもようです。MDMSは紛失・盗難したスマホの登録機能もあるため、この捜索網を利用できないのは痛手になるでしょう。
ネパール旅行で現地会社のSIMカードを使用したい場合、現地へ持ち込むスマホをMDMSに登録する必要があります。ローミングプランを利用する場合は登録が必要ありませんが、旅行者にとっては非常に不便になるでしょう。
MDMSの各種メーカーへの影響は
MDMSでネパール国内のグレーマーケットが大きく縮小化することは間違いないでしょう。健全なマーケットが出来上がろうとしている中で、各種メーカーはこれまで以上にネパール市場でのサポート品質向上や店舗の拡大を目指すことになるでしょう。
ネパールにスマホのグレーマーケットが存在する大きな理由は、国内正規品スマホの価格の高さでした。正規品を買う人が大多数になる中で、今後は各種メーカーが国内定価を下げる努力をすることも予想されます。
MDMSは消費者にとってもリスクがある
MDMSがネパールのスマホ密輸入問題を解決できる一方で、消費者も同時にリスクを抱えます。同システムを理解しない消費者にとって、MDMS未登録で密輸入されたスマホを買ってしまうリスクはあるでしょう。
本来であればMDMSのサイトでIMEIのチェックをしてから購入するよう推奨されていますが、一部の消費者にとっては難しいと予想されます。よって、その対策もネパール政府は今後打つ必要があります。
ネパール市場においてはrealmeが近年勢いを伸ばしています。MDMSの導入で国民が混乱をする中でも国内価格を下げる努力をしており、Xiaomiやサムスンから一歩リードしています。
MDMAと紛らわしいですね