フィリピンの携帯業界において、二社の独占状態となる現状を打破しようとしているニューカマーが存在します。DITOはここ近年で登場した業者です。今回のコラムではDITOを例にフィリピンの通信業界について特集します。
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GlobeとSmartが独占してきたフィリピンの通信業界
フィリピンの通信業界ではGlobeとSmartがシェアを独占している状態が続いてきました。中でも強い存在感を見せるのがGlobeですが、SmartについてもK-POPブームに乗った広告を打つなどして若年層から人気を集めています。
そこで2021年に新規参入したのがDITOであり、徐々にシェアを拡大しながら新たに話題を呼んでいます。日本でも楽天モバイルがMNO化したことで市場のオープンが始まりましたが、東南アジア各国でも似た動きが見られているのは消費者にとって良い流れです。
2022Q1のシェアは1.0%、対する最大手Globeは54.0%を占める
Ooklaが発表した2022年Q1の最新データでは、フィリピン通信業界のシェアはGlobeが54.0%を占めている状態です。残る46.0%のうち、45.0%はGlobeが確保しておりDITOはシェア1.0%です。
新規参入とは言え、1.0%しか取れていないことはDITOにとっても予想外だったでしょう。フィリピンの通信業界に新規参入することがいかに大変か分かります。
なお、2021年の当初はビデオ視聴におけるDITOの回線品質がフィリピンの主要三都市全てで平均を下回る(概ね)評価を受けています。最初の出だしでこの評価となったことは、スタートダッシュを遅らせる原因となっていたでしょう。
スマホを売らないビジネスモデルで勝負
DITOのビジネスモデルの特徴として端末販売を行わないことがあり、SIMカードなど関連プランの販売のみを対象としています(※フラッグシップストアでは販売ありのもよう)。よって、ユーザーは公式の対応スマホとなっているものを自前で用意する必要があります。これは他社からの乗り換えを促す点で有利ですが、その対応数が少なければ同時に障壁にもなりかねません。
DITOがフィリピンで登場した当時はカバーエリアも大手二社に比べると不十分であり、公式の対応スマホの数も非常に限定されていました。2023年の現在ではCherryMobileといった地場メーカーのモデルからInfinix、realme、OPPOなどの人気メーカーの最新モデルまでを多く対応リストに載せています。
公式対応スマホをより充実させることは今後必須だろう
上で述べた公式対応スマホの数は増えているものの、やはり2020年以降に発売された最新モデルだけに限られています。
例としてGalaxy SシリーズはGalaxy S20シリーズ以降でないと対応していません。よって旧型モデルを使う層はDITOへの乗り換えが難しい状況であり、これは同社が今後改善すべき点です。
郊外都市での店舗の拡充が重要か
フィリピンの地理的特性として、ルソンとビサヤ、ミンダナオと呼ばれる三つの地域分類があります。ルソンは首都マニラ(NCR)を含む最も栄えた地域ですが、ビサヤとミンダナオは都市部を除き発展途上にあります。
DITOはまだビサヤとミンダナオではそれぞれ四店舗ずつしか構えておらず、GlobeとSmartに比べると圧倒的に不利な状況にあります。現時点でDITOは日本国内での「格安SIM」のような位置づけにあり、オンラインチャネルでのSIMカード販売が主力です。一般消費者が乗り換えるにはハードルも高い点が課題であり、今後はどれだけ郊外の都市に実店舗を拡げられるかがカギとなるでしょう。
Source: Ookla, Opensignal
情報の正確性はともかく、こういう記事いいよね